ソフトバンク内川聖一内野手(36)が交流戦首位をキープする決勝アーチを放った。

「日本生命セ・パ交流戦」のヤクルト戦で、6回にこの試合2本目となる8号2ラン。3年ぶりとなる4安打も記録し、不振に苦しむ男が神宮で大暴れした。21日から敵地で交流戦2位の巨人と賞金3000万円をかけた勝負の3連戦に臨む。

大歓声の中、内川はヒーローインタビューを受けた。「1日にこれだけ打てるんだったら毎日打てよと思います。声援がうれしかった。パワーになった」。そう話し、三塁側ベンチへ戻った。その目は真っ赤に腫れていた。

内川らしい勝負強さだった。同点の6回1死一塁。内川は鷹党が待つ左翼席中段へ決勝の8号2ランをたたき込んだ。「完璧にとらえられた。気持ちと結果が伴うことはそうはないが、1年にこういう日が何回かないと」。思い描いた通りの1発だった。1試合2本塁打は17年4月7日西武戦以来2年ぶり。1試合4安打は16年9月14日楽天戦以来3年ぶりの大当たりだ。

前日19日も3番でスタメン出場したが、3打席凡退で6回裏の守備からベンチに下がった。その時点での打率は2割3分5厘。「3番を打たせてもらっているのに。自分の中でもどこかで何とかしないと」。不振が続くベテランは責任を感じていた。

厳しい立場に置かれた内川の爆発に、工藤監督は「すばらしい。まだまだいけると思わせてくれた。4安打すべてがチームを救ってくれた」と、この日だけでなく今後へも期待を寄せた。この日出番がなかった巨人阿部を抜き通算2100安打で現役安打数トップに躍り出た。打撃職人はベンチでバットを常にきれいに磨き上げている。打球跡や土などを拭き、常にきれいな相棒と打席へと向かう。

交流戦首位のまま、ゲーム差なしの2位巨人と勝率1位を争う3連戦が始まる。工藤監督は「まずは勝ち越すこと」と平常心で戦う。打率2割4分7厘、8本塁打、20打点と内川の数字はまだまださみしい。「ずっと期待してもらえる選手でいたい。半端な成績で終わってしまうわけにはいかない」。最後は笑顔でファンに手を振り、神宮を後にした。【石橋隆雄】