11年秋以来16季ぶりのリーグ制覇を狙う北翔大が、今春2位の札幌大に3-2で延長11回サヨナラ勝ちし、白星発進した。

プロ注目の最速148キロ左腕エース本前郁也(4年=札幌光星)が、延長11回7安打2失点完投。2回に2失点も、プロ6球団のスカウトが見守る前で、3回以降は無失点と立て直し、147球を投げ、勝利を呼び込んだ。

延長11回2死一、三塁で女房役の9番安井流征捕手(4年=札幌光星)がサヨナラ右前打を放つと、本前はベンチから飛び出し、喜びを分かち合った。屋内の札幌ドームはサインが見えにくいからと、安井が指にオレンジ色のマニキュアをつけ、投球をサポート。春初戦も女房役の決勝打で勝っており「勝負どころで安井が必ずやってくれると信じていた。リード面でも助けられた」と感謝した。

春のリーグ戦後、筋力をアップを図るも「上半身と下半身のバランスがうまくいかなかった」とフォームを崩し、対外試合は7月上旬の北海道ガスとのオープン戦以来。その際3回3失点と結果を出せず、1カ月以上、実戦から遠ざかっていた。自己採点は「序盤は40点。立て直せた後半は75点ぐらい。調子が悪い中で勝てたことはプラスにとらえたい」。試合を視察したDeNAの吉田孝司スカウト部長(73)は「万全ではないようだったが、直球のキレは、いいものがあった」と話した。

春は開幕4連勝から、終盤に失速し4位に終わった。最後の秋は、チームとしても個人としても形を残す。「チームの優勝、そして最低限、個人タイトルも取る。大学生相手に打たれていたら上では通用しない。結果や内容次第で、プロ志望届を出すか考えたい」。白星スタートに気を緩めることなく、シーズン最後まで集中し、道を切り開く。【永野高輔】