待望の“4番1号”も空砲に終わった。日本ハム清宮幸太郎内野手(20)が西武20回戦(メットライフドーム)の2回、榎田から、4番でのスタメン出場7試合目で初めてとなる右越えソロを放った。

左腕からの1発も、2年目で初。本拠地移転後では、球団最年少の4番弾で一時同点に追いついたがその後の好機では快音は響かず。4打数1本塁打2打点で、チームは2連敗。最下位オリックスに0・5差と迫られた。

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近未来の4番に、待望の1発が生まれた。先頭で迎えた2回、カウント1-1から西武榎田の真ん中に入った135キロをフルスイングした。手応えは、完璧。弾丸のように伸びた打球は、日本ハムファンが待つ右翼席上段へ突き刺さった。「展開どうこうよりも、しっかりと整理して打席に臨めていた」。納得の一打は、今季4本目で、左投手からはプロ初の本塁打。チームにとっては本拠地移転後、最年少の4番弾で一時、同点とした。

試合開始の1時間前だった。栗山監督が、おもむろに守備練習中の清宮に声をかけた。ブルペンへと連れ込み、語りかけた。「『失敗、成功がある中で、なんとなく過ごしていくのではなくて、それぞれの打席で得るものがある。その積み重ねで成長していくと思うから』と言われました」。右手を痛めた中田に代わって、8月13日から4番に座る。打率が低迷している中、悩みながら日々、打席に立っていたが「スッと落ちるというか。そういうものが、ありました」。心が軽くなった。

指揮官の熱い言葉は効果てきめんだったが、4-5と追い上げムードの5回2死満塁では、変化球を打ち損じて二飛に倒れた。思わず両手で頭を抱え「受け身になってしまった」。その裏、不振から6番に下がっていた昨季の本塁打王、山川がこの日2本目のアーチを架けて突き放された。「もう1本打って、そこが差だなって思いました。逃さないなって」。8回無死三塁の最後の打席では遊ゴロを放って最低限の仕事はしたが、満足はできない。「日々、いろいろなことを感じながらできていますし、それをやっていけば、自分の仕事も果たせると思う。次につなげられたら」。22日に負ければ最下位転落の可能性がある中、4番としての覚醒を誰もが期待している。【中島宙恵】

▼日本ハム清宮が、4番出場で初めての本塁打を放った。13日のロッテ戦(東京ドーム)から4番に入り、7試合25打席目での1発だった。高卒2年目、20歳は北海道移転後の最年少4番弾。これまでは高卒4年目の11年6月12日横浜戦(札幌ドーム)で放った、中田の22歳だった。中田は同年の5月25日中日戦(ナゴヤドーム)が初の4番出場。4番初本塁打まで要した打席数は52だった。近藤は16試合、大谷も9試合で4番出場しているが、本塁打はない。