生え抜き18年目の西武栗山巧外野手が、球団新記録となる1807安打を放った。3回1死、ソフトバンク松田遼から右前打。30日に1806安打で並んだ石毛宏典氏の記録を1日で抜き去った。

ファンに深々と頭を下げた。一塁に到達し、電光掲示板に記録達成の文字が浮かび上がると、ヘルメットを取り声援に応えた。「打席では記録のことを忘れていましたが、電光掲示板を見て実感が湧きました。憧れの大先輩の記録を超えられたことは本当にうれしいです。ファンからの歓声がうれしかったです!」。

西武一筋。試行錯誤の連続だった。打撃論を突き詰める日々。2歩進んで、3歩下がる。修正するため原点に立ち戻ろうとしても「あれ? 俺の立ち戻る場所ってどこやったっけ? って、たまに分からんくなるくらい。頭の中がぐっちゃぐちゃになるときがあるんですよ」。だから見失ったら、バットを振る。つかんだら離れて、またつかんでを繰り返し、1本、1本を積み重ねてきた。

今季は通算100号本塁打など節目の記録が続くが「積み重ねたものが、たまたま重なっただけ。『その日暮らし』ですよ」とうなずいた。間もなく36歳を迎えるクールな仕事人。まだまだ、走り続ける。【鈴木正章】