勝負の9月に猛追する。楽天松井裕樹投手(23)が1日、日本ハム戦の9回から登板。1点差を守りきり、2試合連続の32セーブ目を挙げた。

先発の石橋、2番手森原とつながれたバトンを引き継ぎ、3連勝。単独3位をキープし、2位西武とのゲーム差を3・5に縮めた。3日からは首位ソフトバンクとの3連戦、西武との3連戦が待つ。残り20試合、強固な勝利の方程式で一気に首位浮上を目指す。

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つながれたバトンを落とすわけにはいかなかった。1点リードの9回。マウンドに仁王立ちする松井は打者をにらんだ。「気合が入っていたんで」と初球で攻め方を示した。日本ハム西川に投じたのは外角低めのスライダー。直球と同じ軌道から鋭く曲げ、手を出させた。ハーフスイングで空振り。宝刀の切れ味を確認すると、しつこく続けた。6球中5球が外角へのスライダー。最後は引っかけさせて二ゴロに斬った。

背番号1の「One for all」だった。1点を失えば、これまでの継投が水泡に帰す。石橋が7回無失点。2番手森原も1点で耐えた。だからこそ、狙いが明確だった。宝刀チェンジアップは使わずに、組み立ては直球とスライダーのみ。全19球、13球がスライダー。最後の中田もワンバウンドで空振り三振に仕留めた。捕手堀内は「スライダーなら長打にならない。一番打たれないのは何かを考えた」と説明。低めに鋭く落ちる変化を軸に、打球を上げさせなかった。

屈強なエールを受けていた。始球式でラグビー女子日本代表の藤本麻依子選手が投球。20日から始まるW杯などのPRとともに楽天の日本一を応援された。

競技は違えど、勝利に向かって一丸で突き進んでいる。3連勝で単独3位をキープし「昨年は早い段階で消化試合になってしまった。今年はこの順位でCS争いができている」とモチベーションは高い。ブルペン陣の防御率は3・27でリーグ2位。ボールをつないで勝利をたぐり寄せている。

やってきた勝負の9月。3日からのソフトバンク、西武との連戦に向けて「来週の7連戦が大事。全員で勝っていけるように。その力になれるようにしたい」と引き締める。残り20試合を「One for all、All for one」でぶつかっていく。【島根純】