ソフトバンク明石健志内野手(33)が9日、山梨学院大付後輩のグラブ職人からもらったグラブを使い、福岡・筑後市のファーム施設で汗を流した。

明石は一般的にはなじみのない「D×M(ディー・バイ・エム)」のマークを笑顔で見せてくれた。「後輩がグラブ職人をやっていて、自分のブランドを立ち上げたというので。もう6個くらい手渡されたんですが、これが今までで一番いいですね」。黒にオレンジ、赤のひもでつくられたもので、もらった当初から厚みを薄く改良した。現在はNIKE社と契約しているため、練習用として使用。この日は打撃マシンの球を捕球しグラブをなじませていた。広めのポケットが気に入っていて、ひもは緩めにして、ここからだんだんと締めていくという。

三重県で「D×M」を立ち上げた宮下大輔さん(31)は「高校時代からのあこがれの先輩にグラブを使ってもらって、僕も頑張ろうと思います。革はフィンランド産で締まりがあって、型くずれしないんです。明石さんはひとつのグラブを大事に長く使うので、耐久性にもこだわりました」とうれしそうに話す。昨年の日本シリーズの時期に初めてグラブを手渡し、今回の黒は今年の日本シリーズの時期に渡した。宮下さんも明石と同じように内野ならどこでも守れる内野手だった。高卒後、グラブ職人となりキャリアは13年。独立して4年目で、プロでは山梨学院大付の同期で元巨人育成の雨宮敬投手だけ。明石も「後輩が職人になるなんてうれしいですよ」と喜ぶ。

今季はキャンプ中に腰を手術。全治3カ月だったが、2カ月後の4月24日に1軍復帰。そのままシーズンを戦い抜いた。「しっかりケアとトレーニングをして、来年のキャンプはハッスルしてやりたい」と話す。後輩の思いを左手に自主トレ、キャンプとプロ17年目の来季へ準備を重ねる。