西武ドラフト8位岸潤一郎外野手(23=四国IL徳島)が、消えずにはい上がる。12日、埼玉・所沢で「ドラフト新入団選手発表会」を開催。支配下登録選手では、全体最下位の74番目指名を受けた岸は最後方から「開幕1軍」を目標に掲げた。「今一番勢いがあるチームに入ることができた。入団して自分もその勢いに乗っていきたい」。外野手登録ながら内野もこなすユーティリティー性を生かし、下克上を狙う。

天才と言われた逸材が、1度は消えながらプロまで上り詰めた。明徳義塾では1年から4番。4度の甲子園出場を果たし投手として6勝挙げた。打って投げて守れる万能選手で、西武森を擁した大阪桐蔭からも甲子園で勝ち星を挙げた。卒業後のドラフト指名を目指し拓大進学。しかし右肘を痛め、2年のときにトミージョン手術を受けた。リハビリを続けていたが「投手としては3年春が最後だった」。その年の秋に、野球をやめ退学を決意した。

空白の時間を経て、再び野球への思いを奮い立たせる。地元の兵庫・尼崎に戻り徳島のトライアウトを受験し合格。入団2年目の今季開幕前、西武森から、テレビ番組で「消えた天才」として名前を挙げられた。「覚えていただけたことはうれしい」。遊撃として出場を続け、50メートル走5・9秒の快足で盗塁王を獲得。プロへ滑り込んだ。

背番号は68番。でも「22番をいつか目指してやっていきたい。少年野球で初めてつけて、徳島に入るとき初心にかえれるようにとつけた番号だから」と上だけを見つめていた。【栗田成芳】

▽西武森(岸の西武入りに)「本当にすごい選手だった。なんでもこなしていましたね。また一緒にやれることになって楽しみ」

○…選手が消えた? 西武の新入団選手発表会で登壇したドラフト3位松岡が壇上を歩いていると、後方の段差に気づかずに突如落下した。さらにドラフト1位の宮川も同様に落下しかけるハプニング。会場のファンからはどよめきが起こった。幸いケガもなく事なきを得て、辻監督は「落ちたら、もうそこから上がるしかないからね」とフォローしていた。