BCリーグの新潟アルビレックスBCは、3月14日からのキャンプインに備えて合同自主トレを行っている。

今年のドラフト候補、前川哲投手(24)は、昨季オーバースローからサイドスローに転向し、精度を上げながら開幕(4月11日予定)に備えている。エース格として8年ぶりの独立リーグ日本一と、ドラフト指名を手にすることを目標にしている。

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前川はハイピッチだ。昨年12月から投球練習を開始し、今は1日300球の投げ込みを週に2回行う。「スライダーを試している」。変化球を確認する段階に入った。キャンプイン3日目の16日には最初の練習試合があり「そこで投げたい」。すぐに実戦を迎えられる状態だ。

昨年7月、オーバースローからサイドスローにチェンジ。シーズン後に行われたBCリーグ選抜と巨人、オリックスとの交流戦では自己最速の154キロをマークした。10月からは下半身の強化、体幹トレーニング、ストレッチと新しいフォームの土台となる体づくりに取り組んでいる。肩を休めてリスタートするのではなく、オフシーズンを新しいことへのチャレンジの時期と位置付け、投球練習も早くから始めた。

昨季のドラフトでは2球団から調査書が届いたが指名はなかった。ただ、「すぐに気持ちが切り替わった。指名されると思っていなかったので」。球速はアピールに値するものだったが、まだフォームは自分のものになっていなかった。打者と対峙(たいじ)しても自分のことに意識が向いており、勝負するメンタルには程遠かった。

その分、今季は「完成品になって指名を待つ」。元巨人のエース斎藤雅樹氏らサイドスローの好投手の映像を参考にした。自身もサイドスローだった清水章夫監督(44)は「強い球を持っているのは魅力。あとは打者を打ち取ることに集中できれば」と期待する。ドラフト指名の置き土産にしたいのが独立リーグ日本一だ。「やはり勝ちたい。優勝してプロ入りが理想」。そのための準備を整え開幕を待つ。【斎藤慎一郎】

◆前川哲(まえかわ・さとし)1996年(平8)5月15日生まれ、柏崎市出身。大洲小2年で野球を始める。柏崎第二中では当時直江津中のDeNA飯塚悟史と投げ合う。新潟産大付では3年の春季県大会ベスト4。15年にBC新潟に入団。好きなプロ野球選手は日本ハム金子弌大。19年は25試合登板、8勝5敗、防御率4・12。180センチ、88キロ。右投げ右打ち。背番号18。