獲物は、右の長距離砲だ。右横手の変則右腕、日本ハムのドラフト4位鈴木健矢投手(22=JX-ENEOS)が14日、DeNAとのオープン戦(札幌ドーム)で「右キラー」ぶりを発揮した。

4回2死三塁。先発ロドリゲスが大量6点を失ったところで、マウンドへ走った。打席には、オープン戦本塁打数で12球団単独トップに立つDeNAの新助っ人オースティン。「スライダーを勝負球と決めていた」と、外角低めいっぱいに癖のある武器を投げ込み、「狙って」空振り三振を奪った。猛攻の火を消すと、小さく拳を握った。

さらにイニングまたぎでマウンドに上がった5回も、無死一塁で昨季31本塁打のロペスを見逃し三振。続く宮崎を投ゴロ併殺打に仕留めた。

春季キャンプでスライダーが曲がらず悩んでいたところ、同じ変則右腕の秋吉から「横滑りじゃなく、斜めに投げた方が空振りが取れるぞ」と助言を受けて修正した。教えた先輩が「あいつのは、めっちゃ曲がる」と驚くほど、大きな変化を手に入れた。

左足を高く上げると同時に、頭付近に掲げる左手のグラブとは正反対に、右腕を垂直に降ろす。オースティンが「腕の出どころが見にくくタイミングが取りづらかった」と振り返った通り、特徴的な投げ方で生きる道を切り開く。

オープン戦では、5試合で4回2/3を投げて防御率0・00。厚沢ベンチ兼投手コーチは「右の長距離砲から三振が欲しい場面で投げられるよう、アピールして欲しい」と期待大だ。右のワンポイントとしての独自性を生かし、1軍の貴重な戦力となりそうだ。【中島宙恵】