背番号122のロッテ和田康士朗外野手(21)が“開幕戦”で甲斐キャノンに挑んだ。7回先頭で四球出塁。2死後に二盗を仕掛け、塁審の手は横に広がったが、ソフトバンク工藤監督のリクエストでアウトに。「強肩の方々にはまだまだです」と汗をぬぐった。

“周東2世”と評判の俊足だ。打席に立つと、味方ベンチから三塁を守る周東へ「周東より足速いぜ」と声が飛んだ。しかし和田は一塁からなかなかスタートを切れない。甲斐の強肩に加え「古谷さんのクイックも早くて…」。出塁後の10球では、スタートのそぶりさえ見せられなかった。

井口監督からは「アウトでもいいからどんどん行け」と指示されている。塁上では、一塁ベースコーチの伊志嶺コーチから「足のスピードで勝負しろ」と背中を押された。そして出塁後の11球目。「思い切ってギャンブルスタートでした」。左腕古谷が動いた瞬間、和田も動いた。二塁到達まで2秒97。甲斐の送球が一塁側にずれたことでタッチされたが、快足を十分に印象づけた。

育成選手は公式戦では1軍ベンチに入れない。開幕が延期にならなければ和田は2軍でこの日を迎えていた。「練習試合だからこそ、できる勝負なのかなと思います」と球界NO・1の強肩捕手に挑んだ。支配下契約を狙う育成3年目。全ての試合、全てのプレーに開幕戦のような緊張感と集中力で臨む。【金子真仁】

◆和田康士朗(わだ・こうしろう)1999年(平11)1月14日、埼玉・東松山市生まれ。県立の小川高では陸上部に入部した。都幾川倶楽部硬式野球団、BC・富山を経て、17年育成ドラフト1位でロッテへ入団し、今季で3年目。フルスイングも魅力で、ソフトバンク柳田にちなみ“ワギータ”の愛称も。185センチ、77キロ。左投げ左打ち。