幻の開幕戦で、悪いものは全部出し切った。本来のプロ野球開幕日だった20日、日本ハムは、昨季リーグ覇者の西武と練習試合(メットライフドーム)を行った。

開幕投手に決まっている有原航平投手が4回3失点と打ち込まれ、野手陣もけん制タッチアウトあり、守備妨害ありとちぐはぐな展開で敗れたが、“つき物”は払った。来るべき本番へ、あとは前進あるのみ!

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ミスがミスを呼んで、反省は尽きなかった。試合開始直後の1回。いきなり新主将が、やらかした。四球で出塁した先頭の西川遥輝外野手が、西武浜屋のけん制から一、二塁間に挟まれて盗塁死。「初めて対戦する投手で、行くべきじゃなかった。暴走しちゃいました。機関車トーマスみたい」と猛反省したが、これが波乱の展開を暗示していた。

投げては開幕投手に決まっている有原が4回10安打3失点。攻撃陣は2回1死満塁で宇佐見真吾捕手、7回無死一、二塁で近藤健介外野手が併殺に倒れ、8回1死一塁では、空振り三振したクリスチャン・ビヤヌエバ内野手が、捕手の送球を邪魔して守備妨害。自分たちでチャンスをつぶした。

栗山英樹監督は「自分の中では、ここに向かって(準備して)きた。今日は最後までみんなにいってもらったけど、勝ち負けじゃなく、しっかり公式戦と同じような形で戦いきりたかった」と言った。野手はレギュラーメンバー全員が、ほぼフル出場。当初の開幕日だった「3・20」を、公式戦さながらのメンバーで戦うことに意味があった。

結果的には惨敗となったが、指揮官は「いろいろなことを分析していくわけだから。(今は)うまくいかないほうがいい。逆に」と前を向いた。シーズン本番を前に、悪いものは出し切った方がいい。

2回、栗山に対しては内野手が大きく右側に寄り、3回の森の打席でも、遊撃手が一、二塁間深くを守る守備シフトを敷いた。いずれも、がら空きになった三遊間を破られ左前打となったが、リーグきっての知将は「本当に公式戦で(森は)ああいう打ち方をするのか。こっちも、公式戦でシフトを敷くのか」と、言葉に含みを持たせた。当初はなかったはずの練習試合を、有意義に使っている。【中島宙恵】