プロ野球の大洋、ヤクルトで監督を務めた関根潤三氏が死去したことが9日、分かった。93歳。

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小谷正勝氏(75=現役、指導者として長く関根氏に仕えた)

2軍にいた当時の自分を引き上げ、使ってもらった感謝がある。非常に博学で「野球は、すべて動作の原理、原則に基づいている」と熟知していた。

関根さんの恩師である、初代近鉄監督の藤田省三さんが唱えた「野球は、原理に従って体を動かすスポーツ」との持論。明治生まれで、野球の動作について初めて本格的に研究した新田恭一さんの「新田理論」。理詰めを指導の土台とした点で、現代野球に残した功績は大きいと思う。自分も、関根さんの「新田理論はね、テコの原理でスローイングするんだよ」との言葉を指導のルーツとしていた。

勝負に対してはとにかくシビア。長くバッテリーを組んだ根本陸夫さんと通じる激情があった。ゲーム序盤で崩れる投手には特に厳しく、ドライな見極めに徹していた。穏やかな顔でマウンドに向かっているその足もとで、打たれた投手の足を踏みつけていた。

「東京のおやじ」と言える方。ご冥福をお祈りします。