開幕投手に内定している阪神西勇輝投手(29)が開幕への思いを激白した。20日、甲子園での自主練習に参加し、練習後にオンライン取材に応じた。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕日は白紙。モチベーションを保つ難しさを感じながらも「開幕投手という責任」を胸に、練習を続けていることを明かした。

   ◇   ◇   ◇

先の見えない日々でも、開幕投手の責任感を持ち続けていた。度重なる開幕の延期、そしてチームの活動休止。球界全体が揺れ動く中、西勇は複雑な思いを抱えながらも、トレーニングを重ねていた。自主練習を行った後、オンライン取材で胸中を激白。「開幕を任されている責任がある分、練習を落とすことはできなかった。開幕投手という責任もあるし…。いつ開幕と言われても大丈夫なように、準備することだけしか頭にない」。開幕への強い思いを何度も言葉で表した。

矢野監督から開幕投手を託され、本来ならば3月20日のヤクルト戦に登板するはずだった。最初の開幕延期が決定した翌日の3月10日、矢野監督は「オレの中では変わりない」と改めて西勇の開幕投手を明言した。しかし新型コロナウイルスの感染拡大により、開幕日は白紙となった。「モチベーションを保つのはすごく難しい。誰もが経験していないし、言い訳できないことも分かっている」。調整に苦慮するが、首脳陣の信頼に応えることに集中した。

活動休止中は3勤1休のペースで練習に取り組んだ。感染のリスクを避けるため早朝から練習開始。通行人がほとんどいない公園で、黙々とランニングを続けた。家では限られたスペースで筋力トレーニングに励み、過去の映像を見ながら自分の投球スタイルも見直した。「この時期だからやれることもあるだろうと思ったけど、何がいいのかを考えて、野球を離れないことだと思ったので」。これまでと同じように、野球第一の毎日を過ごすことに決めた。

オリックス時代の11年には東日本大震災による開幕延期を経験したが、未知のウイルスとの闘いはいまだかつてなかった。願うのは少しでも早く終息し、誰もが野球を見られる日常に戻ることだ。「プラスに考えながら、常に気を張っていますし。本当に、開幕してくれ、と思いながらやっています」。未来を信じ、開幕のマウンドに立つことを思い描いた。【磯綾乃】