「開幕1軍」は夢物語なのか-。ロッテのドラフト1位、佐々木朗希投手(18)が26日、ZOZOマリンでプロ入り初のシート打撃に登板。左打者3人に計11球を投げ、160キロを2度マークした。フォークボールは146キロに達し、自己最速を大きく更新。今週末の紅白戦、6月の1軍練習試合登板も内定し「6・19」開幕に、もしかしたら…。プロ野球ファンの夢が膨らむ。

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プロ野球に戻った息吹を、しっかりと感じさせた。ファンや報道陣がいなくても、スタジアムで投じられた「160」に、誰もが感嘆した。佐々木朗は実戦感覚に近いシート打撃を終え、オンライン取材に対応。「しっかり指にかかって、いいボールがいったと思います」と画面の向こうで胸を張った。

160キロ。高校時代はピンチや強打者相手にだけ、リミッターを外した。「過去に対戦した打者の中でおそらく一番レベルが高かったので、そういった面で気持ちが入りました」。打席に立ったのは菅野、藤岡、福田光。プロではこんな並びが当たり前だ。まずは菅野に初球から156キロ。157キロ、156キロと続け、4球目の157キロが甘く入った。

無人の右翼席に白球が飛び込み「さらに集中力が増したと思います」とゾーンに突入。続く藤岡には人生5度目の160キロから入り、フォークを挟んで、再び160キロ。田村のミットの響きに「球速よりも、空振りを奪えた方が喜びを感じました」。正遊撃手からの3球三振。1軍で生き抜く上で、大きな自信になる。

“自己最速”も出た。3人目、福田光への初球フォークは驚異の146キロ。高校時代は139キロ止まりで、3月末のフリー打撃でも135キロ。抜けも悪かったが、見事に修正してきた。体幹トレ中心の4月、5月。「地味な練習も多く、気持ちを保つのが難しかったですけれど、弱い部分を強くするために有効に使おうと決めて頑張りました」。大物ルーキーの心持ちの強さが、数字に表れた。

今週末に紅白戦で実戦デビューし、6月の1軍練習試合にも登板する。現状、開幕ローテ6枚は固まっており、動かす必要は少ない。意味があるとするならば、チーム内外に示す、開幕ダッシュへの強烈な起爆剤として-。「結果を出さないことには1軍で投げられない。クリアして、1軍で投げられるようにしていきたいと思います」。道を開き、プロ野球を盛り上げる。【金子真仁】

▽ロッテ吉井投手コーチ(佐々木朗の実戦デビューについて)「まずは1イニングから。先発かリリーフかは、まだ決めていません」

◆佐々木朗これまでの160キロ台 岩手・大船渡時代は、スピードガンで4球160キロ以上が計測されている。自己最速の163キロは、昨年4月6日の高校日本代表1次候補合宿の紅白戦で、横浜・内海(現・法大1年)が相手。智弁和歌山・黒川(現楽天)と星稜・山瀬(現巨人)にも、それぞれ161キロを投げた。「打たれるんじゃないかなと。緊張して変に力んでしまった」と話し、6者連続三振を奪った。昨夏岩手大会4回戦の盛岡四戦では、2点リードの8回に160キロをマークした。

◆160キロを計測した投手 これまで1軍では13人おり、昨年は千賀(ソフトバンク)国吉(DeNA)エスコバー(DeNA)デラロサ(巨人)の4投手が初めてマーク。他にも今年巨人に加入したビエイラは、3月10日のソフトバンクとのオープン戦で161キロ、今月24日の練習中に160キロを計測した。

◆高速フォーク 最速158キロを誇った伊良部(ロッテ)は、フォークでも140キロ台中盤を計測。大谷(日本ハム)もフォークが140キロを超え、165キロを計測した試合では151キロのフォークを投げた。現役では他に沢村(巨人)上沢(日本ハム)山本(オリックス)などが140キロ台の高速フォークを武器にしている。