同姓同名で親交 パラ陸上選手が阪神西勇輝から刺激

  • 来年の東京パラリンピック出場を目指して練習を積むパラ陸上の西勇輝(本人提供)
  • 笑顔の阪神・西勇輝投手(2020年6月12日撮影)

全国の野球ファンが待ち望んでいた20年のプロ野球が始まった。阪神西勇輝投手(29)と同姓同名で親交を持つ、パラ陸上車いす短距離の西勇輝選手(26=野村不動産パートナーズ)もその1人だ。物心ついた時からプロ野球選手に憧れ、今も活躍する姿を自身の競技活動の刺激にしている。【取材・構成=磯綾乃】

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幼い頃から巨人ファンの西さんも、西勇がマウンドに立つ時だけは阪神ファンになる。「西さんが投げる時は阪神を応援します。西さんが打たれたら悔しいです(笑い)。憧れの存在ですし、西さんが活躍する姿が自分の力にもなります」。

2人が親交を持ったきっかけは昨年、西さんの記事が新聞に掲載されたことだった。同姓同名の存在を知った西勇が、自身のSNSに載せていいか、知人を通して西さんに問い合わせて来たという。西勇が菰野高時代の頃から知っていた西さん。「オリックス時代から西さんが活躍すれば、もっともっとやらなきゃと。西さんが勝てば次のレース勝たないと、って勝手に刺激を受けていました」。そこからSNSを通じて連絡を取るようになった。

西勇が登板した昨年のCSファイナルステージ巨人との第4戦は、招待を受けて東京ドームで観戦した。「小さい頃から東京ドームは夢の場所。僕の名前と同じ名前がスコアボードに載るのがすごくうれしかった。立てるはずのない舞台に自分の名前があるなんて、なかなかないです」。2月には沖縄でトレーニングを行っていた合間をぬって、阪神の春季キャンプを訪問し西勇と初対面。「オーラが違いすぎて…優しい方で笑顔もすてき。こういう選手になりたいと思いました」。間近で見たブルペン投球と人柄に感動した。

物心ついた時から野球好き。松井秀喜、清原和博、イチロー、金本知憲…。プロ野球選手は常に憧れの存在だった。東京ドームや神宮球場だけでなく、巨人2軍が練習するジャイアンツ球場にも通い、今でもたまに足を運ぶ。「障害があって生まれましたが、両親にはいろいろなことにチャレンジさせてもらった。でも唯一出来なかったのが野球。挫折じゃないですけど」。先天性の二分脊椎症を持って生まれた西さん。これまでさまざまなスポーツに挑戦してきたが、大好きな野球だけは出来なかった。

だからこそプロ野球選手は大きな存在だった。何万人もの注目のなか、大歓声を受けてプレーする姿に憧れた。「野球選手という存在が僕を作ってくれた。憧れなければ、今の競技をやっていないと思う」。現在は、延期となった来年のパラリンピック出場を目指して練習を重ねる日々。新型コロナウイルスの影響で競技場やトレーニング施設が使えない時期もあったが、西さんは後ろを向かなかった。「この1年間を強化できるいい機会だと思って、前向きにやっています」。プラス思考は西勇との共通点だ。

目標はパラリンピックでメダル獲得、そして始球式でプロ野球の舞台に立つことだ。「プロ野球があるから競技を頑張れる。プレーで勇気をもらって、毎日頑張ろうと思います。開幕したらやる気も出てくるし、もっともっと頑張らなきゃと思います」。大好きな野球と憧れのプロ野球選手の姿は、西さんのエネルギーの源だ。

◆西勇輝(にし・ゆうき)1994年(平6)2月14日、東京都生まれ。車いす陸上のT54クラス。13年アジアユースパラ大会で100、200、400メートルの短距離3冠。17年世界パラ陸上は200メートル8位入賞。野村不動産パートナーズ所属。158センチ、58キロ。