ヤクルト高津臣吾新監督(51)が、シーズン2戦目にしてウイニングボールを手にした。本拠地神宮で、中日に6-2で勝ちきった。トリプルスリー3度の山田哲人内野手(27)を2番に置き、球団史上最年少での開幕4番を任せた村上宗隆内野手(20)を育てながら使う新強力打線が機能。ぶれない心の強さで、2月に死去した恩師・野村克也氏の背中を追う。

  ◇   ◇   ◇  

マスクの上からでも分かる笑顔と、グータッチで「ナイスゲーム!」と選手を出迎えた。高津監督は2戦目で1軍監督初勝利。「うれしかった。ほっとするし、うれしい。みんなが『おめでとう』と言ってくれて、チームメートなので複雑だったけど、選手が一生懸命頑張ってくれて、我々もサポートして、総合的な結果だと思う」。ウイニングボールは早速、監督室に飾った。

初回から、指揮官が組む打線が機能した。1番坂口が出塁し、恐怖の2番山田哲が2日連発となる2号2ラン。「ファーストストライクから積極的に打つことができた。良い角度がついてくれて良かった」。4番村上も1号ソロで続き「積極的にスイングすることができました。まずは1本出て良かった」。理想的な展開で、試合の主導権を握った。

チーム始動から貫いてきた打順。高津監督は「坂口がよく出塁してくれるので、必然的に哲人の前にランナーがいる。今の段階ではよく機能している。村上も、いいところで打ってくれている」と手応えを口にした。

就任の際、監督室に持ち込んだのは野村氏の著書。初勝利に「まだ監督としては未熟だと思うので、いろいろ教わりたい。もう無理なんですけど」と明かした。キャンプイン前日、選手に1つ約束をした「必ず君たちを、のびのびと風通しのいい現場にする」。それは、自身が野村監督の下で守護神としてプレーしていた時代のチームそのものだ。「少しでも野村監督に近づくと言ったら失礼ですけど、教わった『野村野球』をしっかり継承して、ヤクルトの野球を今年のいい1ページにしたい」と誓う。

まっすぐな芯を大事にする。達筆でしたためるサインは、いつも丁寧に、真っすぐ。少しでも曲がっていると感じると「もう1枚ある?」と尋ねる。開幕前日、帰宅後にスタッフに連絡した。SNSで投稿してほしいと直筆のメッセージを添付。医療従事者への感謝の気持ち、ファンへの熱い思いをしたためた。

初勝利を、直接ファンと喜び合うことはできない。異例のシーズンだからこそ、言葉に思いを込める。「今年は変わっていこうという目標で、トライしていく最中。一生懸命みんな頑張ってくれるし、結果は後でついてくる。一生懸命やっている最中だと理解してください」。選手とファンと、歩みを進める。【保坂恭子】

<日刊スポーツ評論家25人のセ最下位予想>

▽ヤクルト(22票)

宮本慎也、吉田義男、上原浩治、山田久志、中西太、桧山進次郎、権藤博、浜名千広、一枝修平、建山義紀、梨田昌孝、篠塚和典、和田一浩、佐々木主浩、西本聖、緒方孝市、田村藤夫、大石大二郎、中西清起、谷繁元信、森本稀哲、里崎智也

▽中日(2票)

真弓明信、森祗晶

▽DeNA(1票)

広瀬叔功

※巨人、阪神、広島は0票

※優勝予想は巨人11票、阪神7票、DeNAと広島が3票、中日1票、ヤクルト0票