阪神が新外国人ジェリー・サンズ外野手(32)の劇的な逆転3ランで連敗を3で止めた。

敗戦まであと1死と追い込まれた9回2死一、二塁。この日昇格した昨季の韓国打点王が、DeNA守護神山崎康晃を打ち砕いた。阪神デビュー戦でチームを救うスーパー弾。ジャスティン・ボーア内野手も初タイムリー&初盗塁をマークするなど、4番ジェフリー・マルテ内野手から並ぶMBS砲が全員打点を挙げる大活躍だ。活気づいた打線は今季最多の8得点。さあ、反攻だ。

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土壇場で劇的弾が飛び出した。1点を追う9回、あと1死で4連敗という2死一、二塁。この日初昇格した6番サンズが打席に立った。守護神山崎が投じた4球目、低めのツーシームを振り抜くと、打球は左中間スタンドへ一直線。「すごくうれしかったし、楽しかった。チームで一緒にみんなと喜びを分かち合うことが楽しかったので、良かったよ」。試合を一気にひっくり返す来日1号3ラン。観客からの歓声はなくとも、ベンチの大きな祝福が助っ人を包み込んだ。

この日緊急招集され、6番でスタメン起用されたが8回まで4打数無安打。だが集中力は切らさなかった。「スプリットとかツーシームがすごくいいピッチャーと聞いていたので、それに全部対応できるように準備をしていた」。合流即、チームメートの会話を聞き、コーチのアドバイスやスコアラーの話に耳を傾けて情報収集。山崎の特徴をインプットし、昨季の韓国打点王が勝負強さを発揮した。

6月の練習試合の不調もあり、阪神新外国人の中で唯一の開幕2軍スタート。「すごく寂しい部分はあったけど。いつでも1軍に呼ばれてもいいようにずっと心も体も準備していたよ」。自身のビデオを見てコーチと話し合い、前かがみになっていたフォームを、軸が真っすぐに保てるように修正。貪欲な向上心で劇的弾につなげた。

矢野燿大監督も絶賛した。「みんなにとって、大きなホームランだったと思います。どうしても外国人は枠がある。その中でももちろんまじめに、取り組む姿勢とかも。今日のレフトのあのプレーも、いいプレーを見せてくれている」。4回1死一塁では、伊藤光のレフト線への飛球をスライディングで好捕。攻守でチームを救った。

4番マルテ、5番ボーア、6番サンズのMBS砲が機能した。開幕から初めて助っ人3人がスコアボードに並んだ。マルテは先制犠飛と三塁打。ボーアは初タイムリーなど2安打。先発の助っ人トリオ全員が安打、打点を記録したのは球団史上初めてだ。MBS砲の活躍で、貧打だっだ打線が元気づいて今季最多の8得点。明るい光を感じずにはいられない横浜ナイトになった。【磯綾乃】

▼阪神の外国人が来日初戦で本塁打を放ったのは、ソラーテが昨年7月26日の巨人戦の7回に決勝2ランを記録して以来5人目。それ以前の3人はいずれも開幕戦で、89年4月8日広島戦は8回にフィルダー、91年4月6日の大洋戦は4回オマリー、95年4月7日の中日戦は4回グレンが打った。なお、決勝逆転本塁打は、89年のフィルダー以来31年ぶり。阪神の新外国人が来日初戦の9回に決勝逆転本塁打を放ったのは史上初だった。

▼なお阪神の選手が最終回2死から逆転本塁打を放ったのは、近本が昨年4月25日横浜でのDeNA戦9回2死一、三塁で山崎から3ランを打って以来。対戦相手、球場、イニング、相手投手とも今回のサンズと同じだった。