完全復活や~! 阪神近本光司外野手(25)が、今季初の猛打賞に3打点の活躍で、チームの連敗を4で止めた。前日3日は雨天中止。打率1割台と苦しんでいた男は、福留から「打撃指導」を受け、すぐに結果につなげた。近本で活気づいた打線は、これまでの貧打がうそのように、ともに今季最多の15安打9得点。広島に大勝し、過酷な9連戦の初戦を白星で飾った。

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近本の目の色は変わっていた。3点リードの4回2死二、三塁。広島の先発大瀬良の2球目だった。この日最速で渾身(こんしん)の150キロ直球を引っ張るダメ押しの2点適時打。「あそこで1点取れるかどうかで大きく流れも変わってくると思った」。試合前時点で得点圏では9打数無安打だったが、ようやく勝負強さを発揮。2試合連続完投勝利と、波に乗っていた鯉のエースを打ち砕いた。

初回は先頭で二塁への内野安打で出塁し、7回には4番手今村の直球を左前へ運んで今季初の猛打賞。直後にリーグトップタイとなる4個目の盗塁も決めた。「勝利にしっかりつながったという点で、チームとしても良い流れを持っていきたいなと思った」。2回には犠飛、8回には四球を選び、この日は全5打席で役割を全うした。

前日3日は雨天中止。打率1割台と苦しむ男は、プロ17年目の福留からマツダスタジアムの室内練習場で助言を受けた。足の上げ方やタイミングの取り方など、ひと言ひと言に熱心に耳を傾けた。「技術って(1日では)そんなに変わらないと思うんですけど、気持ちで動き方も変わる。昨日の練習が良かったかなと思います」。球界現役最年長43歳の金言を胸に一夜明けの試合前もバットを振り続け、「福留塾」をすぐに結果につなげた。

チームの連敗は4でストップ。これまでの貧打がうそのように、15安打9得点で広島に大勝した。矢野監督も「本当にいい内容の中身のある試合ができた。チーム全体として、何とか明日につなげたい、つなげられるような内容だった」と納得顔だ。昨季リーグの新人最多安打を更新した近本もようやく打率が2割台に乗り、復調の気配が漂う。過酷な9連戦の初戦は白星。近本の上昇に連動し、チームもここから巻き返していく。【只松憲】

○…猛打賞の近本にひやりとする場面があった。4回に二塁を狙って盗塁死となった際、遊撃手田中広と接触して左膝を痛めた。苦悶(くもん)の表情を浮かべ、心配した矢野監督やトレーナーが駆け付けた。その後は中堅守備を無難にこなし、試合後は膝の状態について「大丈夫です」と力強く話しており、軽傷だったようだ。

▼近本の1試合3打点は自己最多タイで、昨年7月21日ヤクルト戦以来プロ4度目。今季の打点は6月21日巨人戦の初回先頭打者ソロ本塁打以来。今季は前試合まで得点圏に走者を置き11度打席に立ち、9打数ノーヒット、打点も0。この日は2回1死一、三塁での犠飛、4回2死二、三塁からの2点適時打と、初めてチャンスを生かした。

▼近本の猛打賞は今季初で、19年9月18日ヤクルト戦3安打以来。昨年は13度あり、これはセ新人では2位タイだった。