中西清起氏「藤浪150キロ超えも球威感じない」

  • 1回表広島1死一、三塁、鈴木誠は左前先制適時打を放つ。投手は藤浪(撮影・清水貴仁)
  • 阪神対広島 初回に3失点し頬をふくらませながらベンチに引き揚げる藤浪(撮影・上田博志)

結果通り、藤浪は今季一番悪かった。要因は腕がほとんど横振りだったことだ。

上からたたけない分、シュート回転して甘くなり、150キロ超えでも軽々はじき返された。広島打線も球威を感じなかったと思う。横振りは腕も遠回りして、打者が投手との距離を近くに感じない。いい時の藤浪は体に巻き付けるような始動で上からたたく。腕が前に伸びる分、打者との距離を縮めて球威を感じさせる。過去3戦はそれができていた。

投手コーチとして入団から3年間見たが、横振りの時はフォークを多投させた。縦振りでしか落ちないし、多投で真っすぐの縦振り感覚を思い出せる。ベンチの指示もあってか、4回はフォーク多投の縦振りで、下位ながら3連続で空振り三振を奪った。早く気づいていればと残念なぐらい、別人の内容に光を感じた。

だが1番からの5回はまた横振りに戻り、3番長野と4番鈴木誠を裏をかいたようなカットボールで連続三振に仕留めた。味をしめたのかもしれないが、結果オーライで本来の投球ではない。何より一番迫力がなく、打ちやすい投げ方だ。6回、新人投手の森下にカットボールを完璧に捉えられた2点二塁打が象徴だ。

いいお手本は、常に上からたたいていた森下だ。真っすぐは140キロ台が多く、球速は藤浪以下だったが、阪神打線はそれ以上の迫力を感じていたと思う。入団時、いい時の藤浪は投げたあとに右手が地面をたたくんじゃないかというぐらい、上から投げ下ろしていた。大きなフォロースルーが、迫力ある真っすぐを生み出していた。次回登板では原点を思い返してほしい。(日刊スポーツ評論家)