巨人原辰徳監督(62)が23日、今季限りで現役を引退する岩隈久志投手(39)の記者会見にサプライズ登場した。「21年間、ご苦労さまです」と花束を贈呈した後に握手し、ねぎらいの言葉を送った。

「岩隈投手の会見に多数参列していただいたメディアのみなさま、その後ろには岩隈ファン、プロ野球ファン、メジャーリーグのファン、ジャイアンツファン、楽天ファン、多数のファンの方がいらっしゃる。多数集まっていただき、御礼申し上げます。21年間、後半の数年間は非常に辛いリハビリ、あるいはもう1度復活という中でやってきて、素晴らしい経験が、本人にとっては悔しい経験だったでしょうけど、貴重な経験の中、しかし燦然(さんぜん)と輝く現役生活の数字たるや、これは前人未到の日本のみならず、メジャーリーグにおいても、最も私の中で印象に残ってるのは、ともに戦ったという点ではWBCの2009年。その時は私の中ではピッチャーのMVPは岩隈、クマさんだと。そして、バッターのMVPはガッツ(小笠原)だと、勝手に私は自分の中で彼らを評しております。そういう中で私が3回目のジャイアンツの監督に就任する時に、まず始めに調査したのは、クマさんを調べまして、メジャーリーグで手術も終わり、マイナーリーグの方で試合にも投げ始めてると。一番最初に白羽の矢を立てたのが、岩隈投手でした。多少、即答ではなかったですけれども、いろいろ考えることもあったでしょう。結果的にメンバーに加わってくれた。3度目の監督をやるにあたって、非常に勇気がわいた瞬間でありました。私の中では何とかジャイアンツのユニホームを着て、ジャイアンツファン、プロ野球ファンに、新しく、生まれ変わった岩隈投手を見てもらいたいと。私も見たいという中で闘ってきましたけど、それはかなうことはできなかった。ただ、この2年間の中でジャイアンツ球場で2軍の若い選手、コーチを含めて、懸命にリハビリ、立て直すという姿を、ジャイアンツの若い選手の手本になったというのは、大きな財産をつくってくれたと思っています。今だから言えますが、私は結構しつこい人間で、どうしても今年後半、彼を戦いの場に入れたいと。日にちを指定して、東京ドームのマウンドでシートバッティング。いいバッターをそろえると。彼もその日に対し、揚々とわかりましたと。その日にちを迎えました。迎えて、僕はあえてグラウンドの外、スタンドから見ておりました。スタンドから21番という勇姿を見てました。ただ、私の知りうる岩隈投手の姿には見えなかった。いざ投げて、彼は1球目にその時の全力で放ったと思います。バッターの肩に当たってしまい、その場でひざまずき、相当の激痛だったと思いますが、肩を脱臼してしまったと。私も彼と挑戦したいと。彼も懸命に投げたボールだと思います。それを最後に見させてもらって、その日に落ち着いてから、もう1度また話そうと。10日後くらいでしょうかね、話をして、現役を引退すると聞きましてですね、素晴らしい野球人生だったと。燦然と輝く、レジェンドであると胸を張ってユニホームを脱ぎ、これから先の人生の方が長いわけですから、野球人として、社会人として、生きていこうと。2人の夢はかないませんでしたが、しかし、非常に最後の最後まで戦ってる姿というのは私も強く印象に残っております。来年度、もし野球をやりたいと言うならば、私は相当悩んだだろうと。しかし、今回の決断というのはやり尽くしたと。非常に素晴らしい決断の中、この日を迎えた。監督して、花束を贈らせてもらって、世界一の監督にしてもらった感謝は忘れません。花を贈らせてもらったのは光栄であります。少しリハビリもゆっくりしてもらって、第2の人生をスタートしてほしいです」

言葉を贈った後には、グータッチし「グラウンドでしたかったな。ありがとう、ありがとう」の優しく言葉を掛けた。