若鷲が再び、頂に立った。楽天の2軍が28日、2年連続2度目のイースタン・リーグ優勝を果たした。マジック2で迎えた巨人戦を7-0で快勝。2位DeNAが西武に敗れたため、優勝が決定。今季就任した奈良原浩2軍監督(52)が3度、宙を舞った。11月7日に宮崎で行われるファーム選手権でウエスタン・リーグ王者と対戦し、球団初のファーム日本一に挑む。

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小柄な指揮官が宙を舞った。右手にウイニングボールを手にした身長168センチの奈良原2軍監督が大男たちに囲まれる。全身を支えられ3度、胴上げされた。

奈良原2軍監督 接戦や緊迫した試合をシーズンを通してできたことが、選手にとっていい経験になったかなと思います。その経験値を1軍のステージで発揮して、しっかりと戦力になってもらいたいですね。

方針は明確だ。「1軍がやりたい、やっている野球ができる選手を育てる」。昨季2軍監督を務めた三木監督が掲げる「1点を奪い、守りきる野球」を体現するため、ファームの段階から意識づけを徹底。森監督が率いた西武でプレーした経験も生かした。「初球でバントできなきゃベンチで『ナイスバント』とも言われない」。「1勝」と「育成」の二兎(にと)を追い、圧のかかる場面での勝負強さの成長を促した。

未来を築く「金の卵」も光った。智弁和歌山からドラフト2位で入団した黒川が53試合に出場。チームトップの打率2割9割8厘、5本塁打、26打点を記録した。この試合も1回に先制ソロ。1点リードの3回1死満塁で中堅フェンス直撃の走者一掃適時二塁打を放つなど2打数2安打4打点と活躍。チーム打率は2割8分で両リーグトップ。若手の突き上げも、活性化につながった。

ファーム日本一をかけ、11月7日に宮崎でのファーム選手権に臨む。三木監督が率いた昨季はソフトバンクに3-6で敗れた。「ファーム選手権ともなれば緊迫した展開、試合になる。その中でプレーすることですごくくいい経験ができる。その経験値を毎試合緊張感のある1軍のステージで、自分のパフォーマンスにつなげてほしい」。成長への絶好の舞台で、若鷲が再び躍動する。【桑原幹久】