2位死守への貴重な白星が、ロッテから逃げていった。

1点リードの9回。7試合ぶりに登板の守護神益田が1死二、三塁のピンチを招いた。松田宣へのシンカーが低く抜け、捕手田村が三塁側へはじく。2者が一気に生還。ベンチは誰も動けない。田村はうつむき立ち上がれない。悔しさに目が潤む。左翼席のファンたちも同じだった。

死球を受けた田村の右手人さし指の爪は、復帰から1カ月たっても青い。「気合ですよ」。勝ち抜くために懸命に投手陣をリードし、バットを振ってきた。井口監督は田村ら選手の努力に敬意を表しつつ「こういう戦いで苦しいのは分かるんですけど、その中で何かを勝ち取らないと」と言葉を絞り出した。西武も敗れたため3位転落は免れたが、1勝が欲しかった。

3連敗だが先発投手は好投を続けている。不振にあえぐ井上も右方向への本塁打を含む2安打と、兆しを見せた。「残り全部マリンなので、なんとかホームでいい調整をして頑張りたいと思います」と井口監督。30日からの楽天3連戦を含め、本拠地ZOZOマリンでの9試合で全日程が終了する。西武も楽天も勢いがある。何が必要か。もがいた1年間の答えを求められる時が来た。【金子真仁】