日本ハムが29日、オリックス20回戦(札幌ドーム)で今季2度目のサヨナラ勝利を挙げた。延長10回に渡辺諒内野手(25)が自身初のサヨナラ犠飛を放って3連勝とした。先発した吉田輝星投手(19)は6回5安打3失点で今季初勝利はならず。1点リードの6回に首位打者を快走する吉田正に逆転14号3ランを浴び、今季初勝利を挙げることはできなかった。

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6回を投げ終えた吉田輝は、足取り重く、三塁側ベンチへ引き揚げた。ベンチへ腰掛けると、表情は曇りっぱなし。痛恨のシーンを脳内で何度もリプレイしていた。「ホームランを打たれた場面は一番やってはいけないことをしてしまい、悔しい気持ちです」。

1点リードの6回1死一、二塁。打席には首位打者の吉田正を迎えた。第2打席までは変化球でカウントを整えて、勝負球は自慢の直球で見逃し三振と中飛。この打席の初球は144キロの真っすぐを選択し、ボール球となった。2球目は「首位打者を張ってるくらいなので考えてくると思った。フォークで空振りを取るか、真っすぐで厳しいところをどんどん突くか。1打席目の結果を見て、真っすぐにした」。

見逃し三振は、フォーク待ちで反応できなかったと分析し、直球で勝負に出たが力んだ。外角低めを狙った真っすぐは、引っかけて内角低めへ。甘くストライクゾーンに入ると、吉田正は逃してくれなかった。右中間へ逆転14号3ランを浴びた。「厳しくいこうと思いすぎた」と猛省した。

5回までは直球を軸に押すスタイルで快投した。栗山監督も「バックはしていない。前には進んでいる」と90球中、半数以上の53球もストレートで勝負した内容を評価。吉田正に被弾した場面も「変化球、変化球で打たれたならファームに落としている」。真っ向勝負で味わった悔しさを、成長の糧にしてくれると信じられる姿だった。届かなかった今季初勝利を得るチャンスは、次週再び回るもようだ。吉田輝は課題に「ピンチでの集中力」を挙げた。次回はラストチャンスをものにする。【木下大輔】