巨人山口寿一オーナー(63)がコロナ禍に苦しむ球界で、来季のDH制暫定導入をあらためて訴えた。都内で取材に応じ、来季も新型コロナウイルスの収束が見通せない中で、選手の負担軽減のためにセ・リーグも暫定的に導入する必要性を主張。将来的な導入の議論発展とは線引きした。14日のセ・リーグ理事会で文書で提案したものの他球団が反対し、見送りとなる流れだったが、開幕から約2カ月の限定採用の新案なども含め、1月の同理事会で再検討を働き掛ける。
<記者の目>
山口オーナーは、何度も将来的な導入の議論は今回の提案と「切り離して考えていただきたい」と強調した。ただ私自身も14日の提案書を見た時に「来季暫定導入」の文字は目に映ったが、将来への布石と捉える部分もあった。他球団や一部のファンもそう受け止めているだろう。今回の提案とは別に、異論に対する見解を聞きたかった。
高校生などで見られるエースで4番。アマチュアで二刀流が減少し、レベルが下がると懸念する意見がある。「プロ野球がDHを取り入れても(アマが)次々にそれにならう必要もない」。セ・リーグの独自性が消え、野球は9人であることが伝統との声も上がる。「川上監督が『邪道に走る』と言うことからも、『正統派はこっち』という意見は非常に理解できる。我々もずっと思ってきた」と歩を合わせる部分もあった。
コロナの脅威にさらされる傍らでセ・パの格差による危機も存在する。DHの有無が最大理由ではないかと聞かれ「その見方が正しいと考えている。プロ野球では打高投低の傾向がずっと続いている。となると、打者1人が多い野球の方がやはり強くなる」と見解を示した。
今回の提案の趣旨が別次元のものと理解はできる。「コロナ対策を離れて言うと誤解される」「セ・リーグの近未来に危機感はあるが、それを口にすると議論が拒否される展開になる…。今日申し上げるつもりはなかった」。他球団がどう思いをくみ取るか。直近に迫る危機のために、同じ目線、同じ熱量でテーブルに座ることが必要だ。【NPB担当=広重竜太郎】



