4年目の広島中村奨成捕手(21)が「8番捕手」でプロ初先発マスクをかぶり、2安打2打点で攻守でチームの窮地を救った。1-1の6回無死満塁から、巨人高橋の141キロ直球をたたき、ワンバウンドで三塁手岡本和の頭上を抜いて左前へ運んだ。プロ初打点が決勝の2点適時打。一塁ベース上で両手を突き上げ、喜びを爆発させた。6長短打でこの回一挙に9点を奪う攻撃で旗頭になった。

「うれしい気持ちです。(九里)亜蓮さんが熱投していたので、援護点になってよかった」

捕手では1軍初出場ながら好リードで九里を完投勝利に導いた。「とにかくテンポ良くということを意識しました」。イニングの合間に九里と話し合いを重ね、要所を切り抜けた。「すごく緊張したんですけど、亜蓮さん、野手の方がたくさん声をかけてくださって、すごく思い切っていけました」と汗を拭った。

緊急事態を乗り越えた。当初捕手は坂倉が先発で、中村奨は外野で先発出場する予定だった。だが、新型コロナウイルス感染を懸念した球団独自の措置で坂倉がベンチ外となり、急きょ先発に抜てきされた。大急ぎで九里と試合の打ち合わせを行って見事なゲームメーク。佐々岡監督は「急きょマスクをかぶることになって大変だったろうと思うし、そこをよくリードしてくれた」と褒めたたえた。 チームに菊池涼ら3選手が新型コロナウイルスに感染した影響で、前日18日に総勢17人を入れ替えた。この日は坂倉、塹江がベンチ外となり、巨人より2人少ない24人のメンバーで快勝をもぎ取った。「緊急昇格組」の背番号22が救世主となった。【古財稜明】