2年ぶり開催の全国大会で初の頂点を狙う。社会人野球のウイン北広島が、29日開幕の全日本クラブ選手権(岐阜・長良川球場ほか)に、2大会ぶりに出場する。チーム最大目標の同大会だが、昨年はコロナ禍で中止。2年ぶりに復活する全国舞台で、道勢では03年札幌ホーネッツ以来、17大会ぶりの優勝を目指す。

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ウイン北広島が、2年間蓄えたパワーを岐阜で爆発させる。昨年はコロナ禍で全日本クラブ選手権が中止。18年以来2大会ぶり7度目の出場に向け、中村薫監督(66)は「23年には北広島に(日本ハム新球場の)ボールパークもできる。4強を超え、頂点に立って、全国にスポーツの街・北広島の名を発信したい」と意気込んだ。

万全の投手陣を軸に臨む。恵庭市役所に勤務する3年目の右腕エース高橋遼太(25=新潟大)は、5日まで行われた道地区予選2回戦、決勝の2戦に先発し、計16回無失点。昨年までの主戦、吉田大器投手(27)が引退したことについて、「去年までは吉田さんについていく感じだった。今年は自分が引っ張らないと。その思いはかなり強い」と自覚を示した。

心強い即戦力ルーキーも加わった。札幌市出身で、今春から塾の中学数学講師を務める左腕の影山瑠星(22=立命大)だ。道地区予選準決勝では公式戦完封デビュー。「チームを勝たせられるような投球をしたい」と、全国舞台での投球を思い描いた。

選手の大半は仕事をしながら練習に参加する。火、木、土曜の午前4時45分から6時までがチーム練習。高橋は「1年目は早朝練習に慣れなくて頭が働かなかったが、昨年は時間があった分、自分で考え、肩甲骨や股関節周りの可動域を広げる試みができた」。最速も1年目の135キロから140キロまで上げ、肉体改造が球威につながってきた。

緊急事態宣言が出されたため、全国大会前に予定した練習試合2戦が中止されたが、前向きな姿勢は変わらない。「市役所の同僚も応援してくれている。どんな状況でも出るからにはチーム全員で勝ちにいく」。1回戦は兵庫県警桃太郎(近畿)と対戦。限られた環境の中、最大限の力を発揮する。【永野高輔】

○…同期が今季プロ入りした新人2人も、加入初年度での全国舞台に気持ちを高ぶらせた。土井凜太郎外野手(22)は昨年まで苫小牧駒大で日本ハム伊藤と同期、西武若林とは駒大苫小牧の同期で「プロで対戦している2人がうらやましい。自分も全国大会で力を発揮して、上の舞台でやってみたい」。坂本卓真投手(18)は苫小牧中央で日本ハム根本と同期。「仲間がプロにいるのは刺激。もっと力をつけないと」と気を引き締めた。

◆北海道勢の全日本クラブ野球選手権 2003年に創部3年目の札幌ホーネッツが、初出場初優勝を達成。準優勝は過去3度で、86、87年に2年連続で函館太洋倶楽部、90年に初出場だった札幌倶楽部が決勝に進出している。

◆ウイン北広島 1993年に札幌郡広島町(現北広島市)を本拠地とした社会人野球のクラブチーム「札幌・広島ウインブレーザーズ」として発足。96年、北広島市の市制施行にともないウイン北広島に改称。全日本クラブ選手権は今回が2大会ぶり7回目の出場。97、01、18年と計3度の4強進出がある。95年から「きたひろしまティーボール」知的障害者大会を開催するなど、地域福祉活動にも貢献している。