プロ15年目を迎えるロッテ大嶺祐太投手(32)が、約4年ぶりに勝利投手になった。「先発じゃないのでそんなに実感はないんですけど」と言いながら、益田にウイニングボールをもらうと笑みがこぼれた。

いま求められている役割は中継ぎだ。「中継ぎしてるので、チームの勝利が優先なので。自分の勝ち負けなんて。負けている試合に基本は投げるんで、その点数が開かないように意識して投げてます」。あらゆる展開に対応できるよう、ブルペンで準備する。この日も先発鈴木が3回で降板。4回からの2イニングを無失点で抑え、勝利投手の権利を得た。

大きな決断だった。19年1月に右肘のトミー・ジョン手術を受けた。同年オフに育成契約となり、背番号も126と重くなった。リハビリを経て、20年8月に再び支配下登録。その直後に先発機会もあり「自分だけじゃなくいろいろな方が携わってくれて、そのおかげで立てるので、感謝の気持ちを持ってマウンドに上がりたいです」と思いを口にしていた。

チームでは今、西野と種市が同じトミー・ジョン手術を受け、復帰へのリハビリに励んでいる。大嶺は昨年の支配下復帰時には「たぶん今後(同じ)手術する人は増えてくると思うので、その人たちの希望というか、絶対に大丈夫というところを見せられたらなと思います」と誓っていた。この日も150キロ近くを連発。序盤で先発鈴木を攻略したDeNA打線の勢いを止め、復活を示した。

石垣島で育ち、地元・八重山商工のエースとして甲子園をわかせてから、15年がたつ。島には、大嶺の高校時代を知らない野球少年も増えてきた。それでも応援熱は強い。「またテレビの前で投げられることができるのは、いいことだなと思います」と喜ぶ。

石垣島キャンプでのインタビューでは「考え方はだいぶ変わったんじゃないかなと思います」と上京後に流れた年月を振り返っていた。決して主役のような輝きではなくとも、出番のためにブルペンで入念に備える。「また明日も1軍にいられれば、それだけで十分です」。充実の毎日を過ごしている。【金子真仁】