ついに、希望の1本が飛び出した。楽天の新外国人、ルスネイ・カスティーヨ外野手(34)が8月31日、ソフトバンク16回戦(ひなたサンマリンスタジアム)で来日1号の同点2ランを放った。

4回に東浜の直球をバックスクリーン左へ運び、31打席目での1発。メジャーでの大型契約を終え、3月に来日。初出場でのけが、リハビリ、コロナ禍の異国の地での生活にも対応し、激しい優勝争いを勝ち抜くための貴重なピースとなる。

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この時を待っていた。2点を追う4回1死一塁。カスティーヨが、東浜の真ん中146キロ直球を捉えた。ライナー性の打球は、ぐんぐんのびた。バックスクリーン左へ放り込むと、本塁を踏み、宮崎の夜空を見上げた。「こういう当たりを打てるようにずっと練習を続けてきた。ようやく出て、すごくうれしいです」。来日から約5カ月。31打席目での7安打目で、待望の1発を披露した。

真価を発揮すべく、海を渡った。キューバ出身で13年末に米国へ亡命。14年にレッドソックスと7年総額7250万ドル(約79億7500万円)の大型契約を結ぶも「ぜいたく税」対策でマイナー暮らしが続いた。楽天には推定年俸65万ドル(約7150万円)プラス出来高で入団した。

壁を乗り越えた。家族を米国へ置き、単身で3月に来日。4月23日西武戦で1軍デビューも、初打席でファウルを打った際に左脇腹を痛め、負傷交代した。6月中旬に1軍復帰し「後半戦、少しでもチームの役に立てることだけを考えていた」と同じく新外国人のディクソンとともに日本へ残り、練習に励んだ。8月18日には午後0時半開始の2軍戦に出場後、午後6時開始の1軍戦でベンチ入り。「体力的にしんどい部分もあったけれど、打席に多く立つことが疲れよりも重要なこと」と“親子ゲーム”で、アジャストに努めた。

打線は前カードで20安打2得点。右腕の相手先発東浜に、右打者対戦打率1割台の助っ人を起爆剤として起用した指揮官は「カスティーヨで行ってみたいと思ったので、キーになると思って送り出した。非常に助かる1発でした」と喜んだ。残り42試合で首位オリックスに3・5ゲーム差。コロナ禍で日本の風を堪能できなくとも、部屋で葉巻をたしなみ、うどんと本拠地仙台名物の牛タンに舌鼓を打つカスティーヨが、激しい優勝争いを勝ち抜くカギを握るかもしれない。【桑原幹久】

▽楽天石井GM兼監督(右腕との対戦打率1割台のカスティーヨをスタメン起用) とにかくカスティーヨでいってみたいと。キーになると思った。ビハインドの嫌な状況になりそうなところですぐに打ってくれたので、非常に助かる1発でした。