笑顔で両手を広げ、大きな「T」を作った。この日も「Bsオリっこデー」。オリックスT-岡田外野手(33)の背中に小さな一文字「T」が輝いた。

「最近、全然アカンかったので…。良いところで、良い仕事ができた」

4回に右中間5階席へ届く同点12号ソロ、8回には試合を決定づける13号2ラン。今季2度目の1試合2発に「(感触は)完璧でした!」と声を弾ませた。

05年高校生ドラフト1位。高校通算55本塁打を記録し「浪速のゴジラ」と騒がれた背番号55は、プロ16年目を迎えた。通算200号にあと1本に迫り「やっぱり、16年間お世話になってる場所なので。ホーム球場で打てたら」と奮起する。

毎朝、誰よりも早く京セラドーム大阪に来る。若手に混じり、早出特打で汗を流す。33歳の今はときおり休息を取り「もう若くないんでね…」と苦笑い。凡打が続くと「アカンときは練習するしかないんでね。『こんなもんじゃない!』と自分で思っている。もっと良い成績を残せれば、きっと強いチームになる」。そう言い聞かせる日々だ。

連敗中だった15日楽天戦(楽天生命パーク)前、野手陣で緊急ミーティングを開いた。「基本、初心に戻っていこう!」。中心のT-岡田が声をかけた。

3連勝で貯金9。6カードぶりの勝ち越しを決め、中嶋監督は「今日はもうT、よくやった! いつもやってくれ!」と表情を緩ませた。T-岡田は「こんな状況でもファンは来てくれている。良い姿を見せて勝ちたい」。抱え続けた悲願を、かなえてみせる。【真柴健】