オリックスの育成5年目、東晃平投手(22)が1軍デビューを飾った。中日とのオープン戦(ナゴヤ)に先発し、ビシエド、大島ら主力が並んだ打線を相手に力投。2回1死二、三塁のピンチも、将来の主軸候補、石川昂を三直併殺に打ち取り、支配下昇格を強烈にアピールした。

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2度の自由契約を経験した年俸270万円の右腕が、3億5000万円のビシエド、2億5000万円の大島らに勝負を挑んだ。オープン戦も含め1軍戦は初。「チャンスをいただいているので、ここで結果と内容を」。その一心で強竜打線に向かった。

2回のピンチを無失点で切り抜け、打線が2回り目に入った4回も力を振り絞った。高橋周をチェンジアップで空振り三振。前の打席で安打を打たれた鵜飼をスライダーで空振り三振に。4回を4安打2三振無四球無失点。ベンチに戻る姿は軽やかだった。

「ナゴヤ球場は投げ慣れてはいるんですけど、苦手な球場。打たれてるイメージしかないです。マウンドが低くて捕手が遠く感じる。でも今日はマウンドの傾斜をちゃんと利用できて、投げられた感じです」

今季にかける思いで、苦手を克服した。19年は2軍で5勝7敗とアピールを続けた。だが翌20年は右肩と右肘を故障し、未勝利に。育成契約の規約で3年目の20年、4年目の21年オフに自由契約になったが、球団は潜在能力を信じて再契約。東自身は岸田2軍投手コーチやトレーナーの支えで、故障も乗り越えた。昨年は2年ぶりに、2軍で5勝を挙げた。

20年途中まで2軍監督を務め、努力の軌跡を見てきた中嶋監督にとっても、うれしい好投だった。「アピールしたい部分は非常によく見えたと思いますし、結果もよかった。1軍の相手に対してでも、自分のピッチングができたというのは非常にいいと思いますね」と評価。今後は中村、近藤大らと支配下枠を争う。連覇を目指すオリックスに、苦節5年目の新戦力が誕生した。【堀まどか】

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◆東晃平(あずま・こうへい)1999年(平11)12月14日、兵庫県生まれ。神戸弘陵(兵庫)では甲子園出場経験なし。3年夏は関西学院との4回戦で敗退。17年育成ドラフト2位でオリックス入り。19年、21年とウエスタンリーグで年間5勝を挙げた。178センチ、83キロ。右投げ右打ち。