値千金弾だ。広島堂林翔太内野手(30)が中日11回戦(マツダスタジアム)の6回に代打決勝本塁打を放った。今季ゼロ行進が続いた中日先発柳から、均衡を破る3号先制ソロ。天敵を撃ち落とし、チームを勝利に導いた。代打1-0本塁打は史上3人目。大勝での連勝から1-0の接戦をものにして3連勝。24日からの交流戦に弾みをつけた。

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ひと振りで試合を決めた。両軍無得点で迎えた6回。先頭で代打出場した堂林は、中日柳の1ボールからの2球目を迷わず振り抜いた。「感触がかなり良かったので、打った瞬間いくと思いました」。角度よく上がった打球は膠着(こうちゃく)状態をも切り裂く代打弾となった。5回まで1安打に抑えられていた苦手右腕を打ち砕き、先発アンダーソンに勝ち投手の権利を与えた。

「何とか塁に出れば流れも変わるかなと思った。そうしたら最高の結果が待っていました」

塁に出ることしか考えていなかった。柳に対して広島打線は今季、この日の5回まで21イニング連続無得点。1点も取れていなかった。堂林は1日中日戦で4打数1安打。「ある程度イメージできていて、今日の攻め方もベンチで見ながら、自分なりに狙い球を絞って打席に立てていた」。6戦連続ベンチスタートでも戦っていた。巡ってきた打席で、外寄りのカットボールを狙った。限られた出場機会の中で、勝利打点はリーグトップタイの5。勝負強さが光る。

今季は中京大中京の後輩が1人、加わった。新人中村健は3試合連続先発と存在感を示し、1学年下の磯村も前日21日には先発マスクで攻守に結果を残した。「他のチームにもいますし、増えてきたのは僕自身もうれしいですし、その分負けられない。しっかり負けないように今後もやっていきたいと思います」。後輩の活躍もいい刺激となっている。

チームは1-0で競り勝ち3連勝。代打1-0本塁打は史上3人目だ。値千金の代打弾で交流戦に弾みをつけた。「結果が出た選手が使われる。貪欲に結果を出して、またスタメンで出られるように準備はしていきたい」。ベンチスタートが続いた自身の停滞感をも打ち破る1発となったに違いない。【前原淳】

○…17日巨人戦で登板を回避するなど、6試合ぶり登板となった栗林が8セーブ目を挙げた。1-0の9回。ビシエド、阿部を連続三振、最後は高橋周を二ゴロに仕留めた。わずか9球で料理し、試合を締めた。「今週は僕のせいで巨人に3連敗してチームに迷惑をかけた。そういう気持ちを込めてマウンドに上がりました」。コンディション面は改善され、交流戦に向けて「1戦1戦大事に戦っていきたい」と意気込んだ。

○…アンダーソンが6回無失点で2勝目を手にした。150キロ超の直球を軸に変化球を織り交ぜ、中日打線を打ち取った。2回1死一、二塁を切り抜けると、危なげなく6回まで101球を投げ抜いた。「制球でき、ストライクを取ることができた。打たせて、守備の人にしっかりと守ってもらったことが今日の好投の要因」。マウンド上同様、冷静に振り返った。

○…勝ちパターン候補2投手が無失点で栗林にバトンをつないだ。7回は矢崎が先頭に四球を出しながら2者連続三振などで後続を切ると、8回は森浦が上位打線を3者凡退。「魔の8回」と言われたポジションで好投した左腕は「めちゃくちゃ意識しました。テンポ良くカウントを有利に持っていくことができたので良かった。与えられたところで抑えられるように」と振り返った。4投手での1-0勝利は今季初。交流戦に向けて価値ある勝利となった。

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