最終戦で史上めて首位と同率でV逸したソフトバンクが5日、西武とのクライマックスシリーズ(CS)のファーストステージ(8日開幕、ペイペイドーム)に向け、本拠地で全体練習を再開した。優勝マジック1で迎えた1日の西武戦で山川にサヨナラ2ランを浴び、プロ初黒星を喫した藤井皓哉投手(26)は、リベンジを約束。戦力外や独立リーグを経験した不屈のセットアッパーが、並々ならぬ覚悟を示した。

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藤井の口調と表情は穏やかだった。練習では時折笑顔も見せ、CSに向けて入念に調整した。目を赤く腫らした1日の西武戦から4日後。「次に向けて自分のできることをやろうと切り替えます」。再始動日にマインドチェンジを強調した。

優勝マジック1で臨んだベルーナドームだった。同点の延長11回に登板し、2死走者なしから森に安打、そして山川にサヨナラ2ランを浴びた。鉄仮面の藤井が、人目をはばからず涙を流した。今季55試合登板で唯一の1敗、プロ初黒星が痛恨だった。「今後忘れることのない1敗になったと思います」。5勝、3セーブ22ホールド、防御率1・12とブルペン陣を支えながら、胸の内にはしこりが残った。

そこで仕返しのチャンスが生まれた。CSのファーストステージは3位西武と本拠地で戦う。山川にリベンジする絶好の機会だ。「抑えたい気持ちを前面に出す。自分ができるベストを尽くしていきたい」と、目の色を変えている。

1日は都内の宿舎に到着すると、藤本監督の部屋を訪ね「次も投げさせて下さい」と、最終戦となる2日ロッテ戦の登板を直訴した。「ドームからホテルまでバスで1時間半ぐらいあった。その時にうまくリセットができた。(独立リーグ時代の)去年はずっとバス移動だったので、長いバスの時間は去年を思い出す時間になった」。20年に広島を退団し、昨年は四国IL・高知で腕を磨いた。今季も育成契約からはい上がってきた右腕は、並大抵のことではくじけない。プロ野球の第一線で投げていることのありがたみを改めて痛感し、「悔しがれることも幸せ」とも明かした。

一皮むけたリリーフエースの反骨心が、CS突破の原動力になる。【只松憲】

クライマックスシリーズ日程と組み合わせ

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