宇田川、山崎颯がいなくても、オリックス投手陣は強力だ。6投手が粘りに粘って、劇的勝利を呼び込んだ。

2-2同点の5回。1死一、三塁のピンチで先発田嶋に代わって比嘉がマウンドへ。39歳のベテラン右腕はヤクルト5番オスナに遊ゴロを打たせ、狙い通りの併殺に打ち取り窮地を脱出した。

直後に吉田正の勝ち越しソロが飛び出した。6回に3番手近藤が逆転を許したが、2死二、三塁で救援した阿部翔太が山田を中飛に切った。続く7回もピンチをしのぎ無失点でつなぐ。8回は平野佳、9回はワゲスパックがそれぞれ3人で片付け、9回裏の逆転サヨナラ劇のお膳立てをした。

中嶋監督も「みんなで勝ったのかなと思います」と投手陣の奮闘を喜んだ。第2戦で阿部が9回に痛恨の同点3ランを浴びた際、指揮官は「やり返してほしい」と期待した。阿部は「絶対やり返したい気持ちだった。2回もやられたくなかった。打たれた後、みんなが声をかけてくれた。『ここまで来られたのは阿部のおかげ』だと」とリベンジに成功し笑顔を見せた。

この日は前夜(26日)に見事な救援ぶりを見せた宇田川と山崎颯がベンチ外だった。前夜の宇田川は5回1死三塁で登板し、2者連続三振を奪って一打同点のピンチを救った。山崎颯も2イニングを無安打に封じて1-0勝利に貢献した。ともに回またぎだったため、疲労を考慮してベンチ外だったとみられる。

自慢の剛球コンビが不在で、ベンチにはコーチ兼任の左腕能見、2年目右腕の山下を入れていた。層の厚さを見せつける投手陣総動員で、オリックスは貴重な勝利をもぎ取った。【高垣誠】

○…左脇腹を負傷しているエース山本が、ダッシュなどで調整を行った。ときおり、両腕を回すなど患部の状態を確認していた。22日の日本シリーズ初戦(神宮)で5回途中緊急降板。24日まではノースロー調整で安静し、25日にボールを持って壁当てを開始。26日は10メートルほどの距離でキャッチボールを行っていた。患部の状況良化が最優先で、予定されていた第6戦の先発マウンドは回避する。今シリーズでの復帰は難しい状況にあるが、中嶋監督は「分からんで。行くかもしれへんで。俺、何も言ってないもん。行くも行かないとも言ってないもんね」とけむに巻いた。

○…比嘉が見事な火消しを見せた。同点の5回1死一、三塁で先発の田嶋を救援。オスナをスライダーで遊ゴロ併殺に打ち取った。昨年の日本シリーズから通算8試合に登板し、無失点を継続中。「低め意識で、ゴロのヒットならごめんなさいという気持ちだった。結果、すごいいい形で良かった」と冷静に振り返った。右の外国人3人を擁する相手打線に対し「毎日準備しなくちゃいけないが、すごくやりがいがあるし、期待して使ってもらっているので応えたい」と意気に感じていた。