広島長野久義外野手(37)が巨人に無償トレードされることが2日、両球団から発表された。

19年1月に巨人へFA移籍した丸の人的補償として移籍。今年まで4年間で296試合に出場した。高い打撃技術だけでなく、気配り目配りができる人間性からチームメートから慕われた。球団と来季の契約交渉を続ける中で、巨人とのトレードがまとまった。14年目シーズンとなる来季は、5年ぶり復帰の古巣で迎える。

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日差しが強いマツダスタジアムでの打撃練習でも、長野は始まりと終わりに必ずサングラスを外す。投げてくれた打撃投手の目を見て、お礼を言うためだ。「動体視力は卓球選手並みです」というその眼力で、後輩の変化を敏感に感じ取ってきた。

出番に恵まれない若手を励まし、元気のない選手には笑いを誘って笑顔にした。今年コンバートされた三塁で奮闘していた坂倉のモチベーションを上げようと、ソフトバンク松田(当時)からグラブをもらうこともあった。若手だけでない。チーム内の立場上、感情をあまり表に出せない大瀬良には、直接ではなく、ショートメールを送った。経験上からの助言に、大瀬良は「精神的に本当にしんどいときだったので、あの言葉で助けられた」と感謝。その後も見返すことがあったという。

シーズン終了後も、戦力外通告を受けた選手を食事に誘うなど、最後まで周囲を気遣った。広島最後の取材対応で潤んだその目には、走馬灯のように駆け巡る広島での4年間が見えていたのかもしれない。【広島担当=前原淳】