日本ハムのドラフト1位矢沢宏太投手(22=日体大)が7日、他の新人6選手とともに千葉・鎌ケ谷の勇翔寮に入寮した。

母から贈られたオーダースーツで晴れの日を迎え「プロの世界で長く活躍して、長い時間をかけて恩返ししていきたい」。9日から始まる新人合同自主トレでも、全体練習の合間を縫って投打両方の調整を継続する予定。球界で唯一無二の“矢沢流”を目指した挑戦が、幕を開ける。

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投げる、打つ、走る-。天国の父に胸を張れるよう、全てで一流を目指す“矢沢流”の挑戦が、いよいよ始まる。プロでの1歩目を踏み出した入寮日。「母からプレゼントしてもらった」という茶色のチェックのダブルスーツをさっそうと着こなして登場し「今までたくさんお世話になりましたし、これからプロの世界で長く活躍して、長い時間をかけて恩返ししていきたいなと思います」。高3冬に心臓発作で父が他界してから5年目。家族で夢見たステージに、母の思いがつまった特別な1着をまとって、ようやくたどり着いた。

身長は173センチと小柄で「体が大きくないので、細いきれいなラインが出るように作ってもらった」という一張羅。もともと、成人式のために用意したものだったが「成人式がコロナで僕はなかったので」とお披露目できていなかった。プロへの門出となる最高の日に、ようやく日の目を見る形になった。「初めてオーダーした。スーツを格好良く着こなせる人になれたら」と成功を思い描いた。

プロでもトップクラスと言われるスピードに、投げては150キロ超、逆方向へ本塁打を狙えるパワー。何か1つに特化する気持ちは、さらさらない。9日から始まる新人合同自主トレでも「フリーの時間はあると思う。そういう時間を有効に使いながらいい練習が出来れば」と、投打両方のメニューを継続する決意だ。

愛用するマットレスは二刀流の大先輩、エンゼルス大谷と同じ西川の「エアー」シリーズ。体のメンテナンスに欠かせない“相棒”に加え、日体大の古城監督からもらった宮本武蔵のイラストが描かれた「二刀流Tシャツ」、さらに中日OBで同大の辻コーチの著書と、“矢沢流”の糧になるものはすべて持ち込んだ。入寮に付き添った母や姉ら家族に見送られ、唯一無二への道に、第一歩を踏み出した。【中島宙恵】

<大谷翔平の入寮(13年)>

12年ドラフト1位で二刀流の先輩、大谷は13年1月9日、父が運転する車で、地元岩手から途中栃木で1泊する2日がかりの移動を経て入寮した。グラブは投手と内野手、外野手用の3種を持参。「自分のものや(動画投稿サイトで)ダルビッシュさん(当時レンジャーズ)や前田健さん(当時広島)、打者では稲葉さん、中村さん(西武)をよく見ます」という用途のパソコンを持ち込んだ。ほか、出身地の岩手・奥州市長から贈られた「持己」と書かれた色紙を持参したことを明かし「部屋に飾っておこうかな」と、共同生活で初めてになる1人部屋の模様をイメージした。衣類は「私服を持っていなかったので、同じくらいの身長のいとこに何着か買ってもらった」と話した。

○…ドラフト4位の常葉大菊川・安西叶翔投手(18)は“覚悟”だけを携えて入寮した。

早朝7時に京都の実家を車で出発し、約6時間かけて鎌ケ谷へ移動。持ち込んだのはマットレスなど「体に関係するもの」のみ。思い出の品などは「あえて何も持ってこなかったです。後ろを振り返らず、前を向いてやろうと思った」。車で送ってくれた両親にも「1年目から活躍する」と覚悟を伝えた。

○…ドラフト5位の立正大・奈良間大己内野手(22)は財布の中に「大吉」を忍ばせて入寮した。正月に帰省していた静岡・菊川市内にある大頭龍神社へ初詣。おみくじは中吉だったが「大吉が出るまで引く」のが恒例。今年は「早い方でした。2度目で」と“執念”で引き当てた吉兆を持ち込んだ。9日に始まる新人合同自主トレから「全てを磨いていきたい」と意気込んだ。

○…ドラフト6位の日本製紙石巻・宮内春輝投手(26)は勝負靴とともに入寮した。スニーカー好きで6足ほど持参。最も高価なのが、昨年12月に抽選でゲットした米人気歌手のトラヴィス・スコットとナイキがコラボした「エアジョーダン1」。定価は約2万円だが、すでに10倍の約20万円程の高値が付いているという。年明けの初詣で「初めておろしました。(今後も)自分が大事だなと思った時に履ければ」と、吉兆の一足とともに新生活をスタートさせた。

○…育成1位の花咲徳栄・藤田大清外野手(18)が長野・下條村に住む祖母お手製の梅干し約50個が入った“茶色のつぼ”を抱えて入寮した。「(プロ入りは)おばあちゃんが一番喜んでくれたので(つぼを抱える写真が)ネットを通じて(祖母に届いて)恩返しできたら」と、あえて目立つように持参。幼少期から体調管理の一貫で食べてきた祖母の味をプロで大活躍する原動力とする。

○…育成2位の四国IL・徳島・中山晶量投手(23)は、創業者一族の祖父や父から授かった「周りの人は大切に」という格言をさっそく生かす。入寮にあたり、地元徳島が誇る大企業、大塚製薬「ボディメンテ」シリーズの飲料等を大量に持ち込み「隣の部屋や周りの人に配ろうかなと」。自身も昨夏、コロナに罹患(りかん)して以降、体調管理のため愛飲中。「人付き合いが大事。球界も」と、うなずいた。

○…育成4位のBC信濃・山本晃大投手(23)は、BC信濃の今年のカレンダーを持って入寮。「まず1月に監督の顔があるので、ちぎるのは切ないけど、毎月楽しみにしながら仲間たちの顔を見たい」と新生活の糧にする。大学入学前は139キロだった球速が、大好物の二郎系ラーメンのおかげ?で増量した体重に比例するように、今や151キロという左腕。早期の支配下入りを誓った。

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