元阪神の井川慶氏(43)が10日、兵庫・西宮市の鳴尾浜球場を訪れ、虎の新人3投手の素材に太鼓判を押した。

新人合同自主トレのテレビ生中継の解説のため古巣に足を運び、ドラフト4位茨木秀俊投手(18=帝京長岡)、6位富田蓮投手(21=三菱自動車岡崎)のキャッチボールをチェック。「茨木君はフォームがきれいで、このまま育ってほしい。富田君も体が強いんだろうなと思う。スムーズに投げていた。ここを直すとかはないと思うので、このまま力を発揮してほしい」と賛辞を送った。

言わずと知れた猛虎のエースだ。03年に20勝を挙げるなど沢村賞を受賞する活躍で18年ぶりのリーグ優勝に貢献。05年にも岡田監督の下で、主戦投手として優勝に導いた。体調不良の影響で別メニュー調整だった門別は同じ左腕で井川2世に化ける可能性がある。井川氏は映像で投球フォームを確認済み。「すごくきれいな投げ方。しっかりと鍛えて焦らずじっくりとやってほしい。持っているものは全然自分よりも上」とたたえた。

大先輩からお墨付きをもらったが、04年生まれの茨木は「知らないです」と左腕の存在を知らず困惑気味。社会人卒で21歳の富田は「チェンジアップがすごいイメージ」と印象を語った。新人の初々しい姿に、井川氏は入団当初を思い出した。「右も左もよく分かってなかった。流されるまま流されていたという感じ。新人の子はまだ分からないんで、とりあえず1年間やること。何を感じるか。即戦力の子はまた違いますけどね」。プロの世界の苦楽を知る左腕が温かいエールを送った。【波部俊之介】

〇…ドラフト2位門別は井川氏の評価に「すごいうれしいこと」と喜んだ。自身は「似てると思ってない」と話すも、周囲からは投球スタイルなどが似ていると言われることも多く、「井川2世」とも言われる。「同じ高卒としてメジャーリーグに行きたいという思いもある。そこは井川さんのようにやっていきたい」と数々のタイトルを獲得し、メジャー挑戦も果たした左腕の後を追う。

〇…ドラフト4位茨木は日本ハムなどで活躍した恩師芝草監督仕込みのキャッチボールを披露した。「バランスを意識してやっている。平行移動で体重移動をしっかりすることを心がけている。キャッチボールは一番大事だと言われてきた」と話す。1球1球フォームを確認しながら丁寧に回転のいい球を投げていた。

〇…ドラフト6位の富田蓮投手(21=三菱自動車岡崎)がロッテ佐々木朗に刺激を受けていることを明かした。「高校で甲子園に出ていなくてもあそこまで話題になるのは、ズバ抜けた何かがあると思う。身長を生かしきった投球やフォーク。刺激になる部分はある。自分には佐々木みたいに空振りをとれる球が必要」。WBC侍ジャパンにも選ばれた同学年のトップランナーを追いかける。

〇…島田が鳴尾浜で今年初めて練習し、長打力アップ&出塁率3割5分の目標を掲げた。「打撃のパワーアップが一番のテーマ。出塁率アップが一番だけど強い打球を打って二塁打、三塁打をもっと増やしていかないと。3割を打ちたいし、出塁率は3割5分以上ほしい。怖さを与えられる打者になりたい」。年末年始は中日溝脇と母校九州学院で自主トレ。強い肉体づくりに励んだ。

〇…井川氏は岡田監督の現場復帰を喜んだ。阪神で04年から3年間、オリックスでも指揮官のもとでプレーした。「岡田監督が動きやすいというか、やりやすい環境は整っていると思うので、あとは岡田監督の持っているものをそのまま出せればアレにつながるんじゃないですかね」と、期待した。「選手がそのままシーズン活躍してくれれば全然ある」と、セ・リーグを制する力はあると見ている。

◆井川慶(いがわ・けい)1979年(昭54)7月13日生まれ、茨城県出身。水戸商から97年ドラフト2位で阪神入団。18年ぶりにリーグ優勝した03年はMVP、沢村賞、最多勝、最優秀防御率を獲得。ポスティングシステムで06年オフにヤンキースに移籍。12年3月に日本復帰しオリックス入団。17年は独立リーグ・兵庫でプレーした。186センチ、93キロ。左投げ左打ち。

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