中日のドラフト2位村松開人内野手(22)がプロ初本塁打を満塁弾で飾った。ヤクルト戦の8回に小川から右中間席へ。プロ1号が満塁弾の新人は球団史上初という快挙だった。試合前には同じ神宮球場で行われた東京6大学リーグで、母校の明大が85年ぶりの3連覇を達成。前主将も負けじと反撃アーチで球場を沸かせた。チームは連敗した。

村松が振り抜いた打球は、黄緑色の雨がっぱ姿で埋まる右中間最前列に飛び込んだ。悲鳴ととともに、どよめきが神宮を包んだ。1-7の8回無死満塁。ヤクルト先発小川の初球ストレートを見逃さなかった。

試合中には「めちゃくちゃうれしい」と喜びのコメントを出した。新人の初アーチが満塁弾は球団史上初めてと聞き、「知らなかったです」と目を丸くした。

試合前には同じ神宮で、母校・明大が85年ぶりのリーグ戦V3を達成。前主将の村松は「優勝できる力はある。実力を出せるかどうかだった」とコメントして自らの試合に臨み、アーチで後輩たちを祝福した。

ただ2点差に追い上げた直後、8回の遊撃守備では代打西田のゴロを後逸してプロ2失策目がついた。その後の連打で西田に8点目のホームを踏まれ、自軍の反撃ムードはしぼんだ。「取れるアウトをしっかり取らないとダメです。ゼロに抑えないと(反撃への)リズムができない。同じことをやらないようにしたい」。試合後は1発の喜びだけでなく反省も忘れなかった。

3月のオープン戦中に右膝を痛めて出遅れたが、4月28日DeNA戦から15試合続けて遊撃で先発出場し、今やチームに欠かせない存在。立浪監督は「ルーキーで積極性は素晴らしいものを持っている。試合の中で自信をつけていってもらいたい」と期待を高める。神宮で育ったルーキーが、最下位からの浮上にあえぐチームに光を与えた。【伊東大介】

▼ルーキー村松がプロ1号となる満塁本塁打。新人の満塁本塁打は22年5月8日DeNA戦の末包(広島)以来58人目(59本目)。中日では66年8月2日巨人戦の広野以来57年ぶり7人目。また、プロ1号が満塁本塁打の新人は12年川端(オリックス)と伊藤隼(阪神)以来21人目で、球団では初。

▼この日は阪神佐藤輝、広島マクブルームも満塁弾。1日3本以上の満塁弾は20年7月28日に阪神ボーア、サンズ、楽天ロメロが打って以来20度目(4本1度、3本19度)。セ・リーグの3人で記録したのは90年7月7日に巨人原、広島アレン、阪神パリッシュが打って以来33年ぶり6度目。

◆村松開人(むらまつ・かいと)2001年(平13)1月6日生まれ、静岡県出身。牧之原小2年から野球を始める。静岡で2度センバツに出場。明大4年時には東京6大学で春秋連覇、明治神宮大会優勝。22年ドラフト2位で中日入団。背番号は5。171センチ、80キロ。右投げ左打ち。血液型B。