ベンチに戻った西武中村剛也内野手(39)が両こぶしを挙げ、よしよしよしと3度動かして喜んだ。

4回、難敵の日本ハム加藤貴から技ありの二塁打で出塁すると、その後三塁へ。2死三塁となり、9番長谷川がカウント0-2と2球で追い込まれた。

「バッター追い込まれてたし、(捕手が)はじいたら行く準備はしてました」

三塁の黒田ベースコーチからも「ワンバン行けよ~」と声を掛けられる中、加藤貴の3球目がショートバウンドし、捕手がはじいた。打者の長谷川は三塁へ「ストップ」のしぐさをしたが、中村はもう突入していた。

捕手のタッチをうまくよけ、セーフ。長谷川も、ネクストバッターズサークルの蛭間も、思い切りセーフのしぐさ。日本ハム新庄監督がリクエストを要求したが、やはりセーフ。4回にして貴重な5点目が入り、黒田コーチも「最高。準備が良かったよ」とベテランの好判断をほめた。

適時打を放って一塁走者になった初回も、佐藤龍の左中間二塁打で本塁生還を狙った。「いい勝負」と判断し、一度はセーフになったが、こちらはリクエストでアウトに覆っていた。

巨漢の39歳が、それだけ際どい判定になるアグレッシブな走塁を繰り返す。黒田コーチも積極的に止めるような判断をしない。中村の本塁生還にはじけるような笑顔を見せていたデビッド・マキノン内野手(28)が言う。

「中村さんはベテランの域に入って、そんなにスピードはないかもしれないですけど、塁上ですごく考えていると思います。リードも、走るか走らないかの判断も。うまいなと」

もちろん加藤貴からの2安打も、中村の技術があってこそ。厄介な左腕との前回対戦後には「普段だとファウルになってる球が、前に飛ぶんですよ。簡単に追い込んで前に飛ばさせる投手」と表現していたが、4カ月後の再戦でしっかりと攻略してみせた。首位オリックスに連敗したチームの流れを、頼もしく戻した。【金子真仁】

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