オリックスのドラフト1位曽谷龍平投手(22)が「7度目の正直」でプロ初勝利を挙げた。

ソフトバンク打線を6回無失点に抑え、シーズン最終戦で悲願の白星を手にした。過去2年はできなかったパ・リーグ全5球団に勝ち越す完全優勝を達成。2年連続日本一に向け、18日開幕のクライマックスシリーズ(CS)・ファイナルステージ(京セラドーム大阪)に向かう。

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曽谷が重圧からほんの少し解放された。白星を守ってくれた味方と控えめにハイタッチ。「1年目なんですけど、苦しいことばかりで、うまくいかないことの方が多かった。最後にこうやって勝てたことが一番良かったかなと思います」。攻めの姿勢で4回2死まで無安打投球。頓宮と首位打者を争った近藤を無安打1四球に抑えるなど6回無失点。リーグ最終戦のマウンドで、ソフトバンク打線と渡り合った。

いやでも期待がかかるドラフト1位の宿命。「正直、プレッシャーしかなかったです。期待に応えないといけないという、自分の中でレッテルを貼ってしまってた部分があった。ちょっとは溶け始めたのかなと思います」。過去6度先発するも0勝2敗。くじけそうな時、支えになる言葉があった。プロ2度目の先発となった6月14日の阪神戦(甲子園)。聖地独特の雰囲気と大歓声にのみこまれ、4回途中6失点。「お前はまだ未来がある。ここで折れずにやっていけよ」。声の主は水本ヘッドコーチ。「言葉をかけてくれて、うれしかったです」。落ち込んだ気持ちを前へと向かせてくれた。

「そこで折れたら野球人生が終わりだと思うので、絶対に信念をぶれないようにしています」。2軍で過ごす間も、残留練習を行っていた山本ら1軍投手陣の姿を間近で見て吸収。「準備の大切さを知りました。試合に入る前の準備で全部決まる」。うつむかず、一瞬も無駄にしなかった。

全てを糧に成長した姿に、中嶋監督は「ナイスピッチング!」と手放しでたたえた。今後への期待に「もうね、しますよ、そりゃ」と即答。曽谷自身も「またCSでチャンスが回ってきたら、何かを変えるんじゃなくて、今まで通り普段通りのピッチングをできるように準備したい」と宣言。成長を遂げた左腕がクライマックスシリーズの“秘密兵器”に名乗りを上げた。【磯綾乃】

◆曽谷龍平(そたに・りゅうへい)2000年(平12)11月30日生まれ、奈良県出身。秋田・明桜では2年夏に甲子園出場も初戦敗退。白鴎大を経て昨年ドラフト1位でオリックス入団。スリークオーター気味のフォームから、最速151キロの速球を誇る。またチェンジアップやスライダーの精度も高い。182センチ、80キロ。左投げ左打ち。

◆新人王の資格 支配下登録後5年以内で、通算成績で投手は登板30イニング以内、打者は60打席以内。