ヤクルト奥川恭伸投手(22)が復活へ歩みを進めた。沖縄・浦添キャンプ第3クール最終日の13日、キャンプ初の打撃投手を務め、打者15人に27球を投じ、安打性は3本。最速は147キロだった。度重なる故障で、最後の1軍勝利は21年。2年ぶりの1軍キャンプは、ここまでスケジュール通りに調整を進め、不安なく日々を過ごす。18日の中日との練習試合(浦添)で先発することも決定。開幕ローテ入りへ向けて、もう歯車は狂わせない。

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気温23度にまで上昇した浦添。強烈な日差しが注がれる球場に、多くのファンが詰めかけた。温かい拍手は自然と発生した。マウンドへ向かった奥川は「いや…。あんまり聞こえていなかったです…。集中していたので…」。必死だった。「ストライク入るかなって」。正直な思いだった。

今キャンプ初の打撃投手。オスナらと15回の勝負。27球で安打性は3本に抑えた。場内の球速表示で最速146キロも、トラックマンなどのデータ表示は最速147キロ。投げ終えた後も、拍手が起きたが「投げ終わってすぐだったので、あんまり聞こえていなかったですね(笑い)」。並外れた集中力で、マウンドを降りた。

課題と収穫は見えた。良かった点は「ここまで順調にやれている。予定通り進むというのが一番。今までそこがうまくいっていなかった」。改善点は「バッターを見ながら投げたりとか、ボールの高さ」。それでも、打席に立った長岡は「変化球の精度、コントロール、キレ、本当に素晴らしいなって。いいところにしか来ないんで。相手だったら嫌だなって」と絶賛。奥川は、その上を見ている。「変化球を褒められたことはうれしいですけど、褒められるような真っすぐを投げたい」。

何度も「予定通り投げられたことが良かった」とかみしめた。21年に9勝を挙げ、日本一に貢献。ただ、右肘のけがなどで、22年3月29日の巨人戦(神宮)を最後に1軍から姿を消した。昨年7月には左足首を負傷。復帰と故障を繰り返し、昨年11月11日の松山キャンプでは、四国IL・愛媛との練習試合で3回完全。最速154キロをたたき出した。

やっとたどり着いた2年ぶりの1軍キャンプ。18日の中日との練習試合では先発し、2イニングを投げる。「残りもけがなく。オープン戦、開幕に向けていい調整と、アピールができるように頑張りたい」。もう止まらない。【栗田尚樹】

▽ヤクルト高津監督(奥川について)「思ったより球に力もあったし、しっかり、制球も出来ていましたし、すごく内容のあるいいBPだった。毎日、1つずつ、一段階ずつ、クリアしていってる」

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