札幌6大学野球1部春季リーグ戦が、29日に札幌円山で開幕する。昨年秋季リーグ3位の北大は、同大野球場の改修費用などを募るため、16日からクラウドファンディング(CF)を開始。目標額300万円でフェンス改修や老朽化したピッチングマシンを更新したい考えだ。活動費が限られている公立校が設備を充実させて、悲願の1部優勝を目指す。北海道6大学野球春季リーグ戦も、27日に苫小牧・とましんスタジアムで開幕する。

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支援で受けた恩を結果で返す。北大が16日から始めたCFの期限は6月14日午後11時までだが、4月25日時点で260万円以上を集めており、目標額300万円は達成できる可能性が高い。金額に応じて同部ユニホームなどを返礼品として出資者に贈る。開始から2日間で150万円に達するなど反響は大きかった。主将の大沢楽汰(るんた)内野手(4年=札幌南)は「こんなに応援してくれている人がいてうれしく感じている」と喜んだ。

集まった資金は野球場の安全を確保するための改修などに使う。外周フェンスは一部破損して針金が飛び出しており、ぶつかった選手が負傷する事故があったため、防護カバーを取り付ける。老朽化して制球が安定しなくなった2000年製のピッチングマシンや練習試合などで使う防球ネットの更新費用にも活用する。秋野禎木監督(64)は「選手が思い切って打球を追いかけられる環境を整備したい」と展望した。

目標とする1部優勝につなげる。1901年の創部という歴史を誇る伝統校。2010年に全日本選手権ベスト8入り。19年に2部降格を経験したが、21年に1部昇格後は昨年の秋季リーグで3位に入った。同年のドラフトでは、四国IL・徳島でプレーしていたOBの宮沢太成投手(25)が西武から5位指名を受け、同大出身者として初のNPB入りを果たした。チームは14年ぶりの1部優勝を目標に掲げてリーグ戦に挑む。大沢主将は「全力でプレーして1部で優勝した姿を見せて恩返ししたい」と意気込んだ。【石井翔太】

○…函館大が18年秋以来、11季ぶりの優勝を目指す。昨年の秋季リーグで新人王に輝いた石岡流音(2年=函館大有斗)が投手陣を引っ張る。背番号は昨秋の12からエースナンバーの18に変わり、2年生ながら役割は大きくなった。「チームの中心で投げなければならないという自覚と責任を感じている」と期待に結果で応える。

昨年の春季リーグでは東農大北海道との優勝決定戦で先発したが、7回での1失点が決勝点となり敗れた。「1点、1球の重みが分かった。ここぞという場面で抑えるのがエースの役目」と悔しさは忘れていない。

今年は球速150キロを目標に掲げる。現在は最速147キロだが、秋季リーグまでに大台突破を目指す。「2年目からが本当の勝負になると思うので、昨年以上の成績を出してチームを引っ張っていきたい」と自覚を新たにした。