早大・吉納(よしのう)翼外野手(4年=東邦)は「僕が死ぬまで絶対忘れない歓声だと思います」と言った。
観衆3万人、早慶戦の大舞台。3回のソロ本塁打だけでは終わらなかった。6回のチャンス。慶大・荒井の直球をバックスクリーンまで運んだ。今春3本目の豪快3ラン。「毎試合ヒーローは変わっていたので、その中でまだ自分は1試合もなってなかったので、そろそろ僕だなっていう風に」。2週間の猛練習の、最高の答えが出た。
ドラフト候補とされながら、打率が上がらなかったこの春。苦しんだけれど闘志は失わない。ベンチではいつも強い目で戦況を見つめていた。
「高校の監督に『常に相手を見下ろせ』と言われてきて。もちろん相手をなめるとかではなくて『自信を持って相手を見下ろすには、自分たちがそれだけ練習をやらないといけない』って言われてきて。これだけやってきたんだから絶対負けることはないだろう、って気持ちを常に持てって」
同じく愛知から入学した印出太一捕手(4年=中京大中京)にキャプテンを任せながらも、早大野球部を中心で引っ張ってきた。早慶戦への思いも強い。
「早稲田で優勝するために早稲田に来たので。小宮山監督も自分が1年生の頃からずっと面倒見てくださってるので、しっかり結果で返して、絶対に日曜日に胴上げしてあげたい」
週の半ば、グラウンドでそう意気込みを話し、最終調整を進めてきた。
目標の存在がいる。早大の2学年上の先輩、西武の蛭間拓哉外野手(23)だ。同じ外野手、同じ左打者。早慶戦の数日前も、蛭間がよく通っていた接骨院で西武戦の中継を眺めていた。「目標にしてる選手ですし、追い越したい選手なので。自分も頑張る原動力になってます」と憧れる。
3ランの打席前に小宮山監督から「ここで打点挙げればベストナインも」とあおられ、有言実行で「お願いします」と報道陣におねだりした吉納は実はすでにもう1つ、おねだり中。
「優勝したらごちそうしてください!」
そんな後輩の願いをベルーナドームにいる蛭間に言付けすると「待ってろよ!、って伝えてください」と迷うことなく豪快に返ってきた。
吉納ら現役世代の早慶戦快勝に連鎖するように、蛭間もこの日、巨人戦の9回に同点打を放ってサヨナラ勝利に貢献した。
もう、ワセダの流れ。6月2日、勝って泣く。ごちそう(とベストナイン)を待つ。【金子真仁】



