独走Vの使者がまた1人、戻ってきた。阪神高橋遥人投手(29)が275日ぶりの1軍マウンドに上がり、中日打線を相手に6回4安打2失点と粘投した。
昨年11月に「左尺骨短縮術後に対する骨内異物(プレート)除去術」を受け、昨年10月13日のCSファーストステージDeNA戦以来となった1軍戦。今季初勝利は逃したが、手術前と変わらないハイレベルな投球で首脳陣を安堵(あんど)させた。チームは延長11回に勝ち越され、2位巨人とのゲーム差は9に縮まった。
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プレーボールの直前、「ピッチャー高橋遥人」のアナウンスにひときわ大きな歓声が上がった。球場全体にこだました「頑張れハルト!」のコール。球場全体から背中を押されながら上がった、275日ぶりの1軍マウンド。高橋は試合後、敗戦の悔しさをにじませながらも感謝の言葉を紡いだ。
「緊張していたので…。うれしかったです。ありがたいです」
4回、自身の犠打ファンブルなどで1死満塁のピンチを招き、山本の右前適時打に失策も絡んで2点を奪われた。「ボールもまだまだですし。自分のミスから1点入っているので。しっかりしなきゃなという感じです」。それでも直後の1死一、二塁では石伊を遊ゴロ併殺に打ち取り、追加点は阻止。6回81球を投げ、4安打2失点(自責1)と先発の役割を果たした。
「しっかり腕を振って投げられたとは思う。思い切り投げました」
23年6月に左腕の尺骨を縮める手術を受けた。昨年受けた手術は、その際から埋め込まれていた約8センチの金属片を取り除くもの。メスを入れたのは自身5度目となった。
肩や肘の手術とは少し違い、腕の筋肉にメスを入れると「肉離れみたいになった」。当初は術後6カ月程度での実戦復帰を見込んでいたが、実際には約8カ月を要した。想定以上の時間がかかり、複雑な思いも抱いていた。
「(プレートを)取っていなかったらもう投げられているな、とは思った。そう簡単にいかないなと」。
投げられないもどかしさも感じたが、ここまでたどり着けたのは周囲の支えがあったからだ。
「いろんな人にケツをたたいてもらった。同じリハビリして頑張ってるみんなも、ファンのみんなの応援も、治療してもらってる人も。全部が活力になった」
藤川監督が「ボールはすごく戻っているし、長いリハビリだったと思うんですけど、素晴らしいボールがいっていましたね」と絶賛した復帰戦。今後は「回復ももちろんありますし」と状態を見ながら判断する。
盤石先発陣に戻ってきた頼れる左腕。チームは延長戦の末に敗れたが、また新たな希望の光が差し込んだ。【波部俊之介】
▽阪神梅野(今季初登板の高橋に)「先発の役割として、粘り強く投げてくれた。次回はバッテリーで勝ち投手になれるような環境を作っていきたい。こういう試合を取れるように頑張りたい」



