<巨人4-7中日>◇9日◇東京ドーム

 原巨人が首位で並んでいた中日との直接対決第1ラウンドで敗れた。先発のディッキー・ゴンザレス投手(31)が2回に3失点するなど、5回途中5失点でKOされた。守備ではルーキー長野久義外野手(25)が5回1死二塁から森野の右前打を本塁にダイレクト返球し打者走者の二進を許してしまった。その直後の致命的な2点につながり、投手交代と同時にベンチに下げられた。強肩すぎるがゆえの手痛いミスとなった。

 前だけを見て突っ走ってきたルーキーには、難解な局面だったかもしれない。5回1死二塁。森野の右前打を処理した巨人長野は、本塁へノーバウンドで返球した。二塁走者の荒木は三塁で止まったものの、打者走者の森野は一気に二塁を陥れた。1死二、三塁とピンチは広がり、ブランコの中前適時打で2者が生還し、リードを5点に広げられた。結果的には、これが決勝点となった。その後の投手交代の際に、一塁の亀井が右翼へ入り、長野はベンチへと下がった。

 打球の処理はスピーディーで肩も強い。この日も長野の返球には、場内からどよめきが起こるほどだった。球界を代表する一流の外野手になれる器。だからこそ、コーチ陣の目は厳しかった。伊原ヘッドコーチは「あんな送球されたらたまりませんよ。一喝しておきました」と、みけんにしわを寄せた。

 キャンプ中からノーバウンドで投げる傾向は指摘されていた。緒方外野守備走塁コーチは「肩が強い選手にありがちなプレー。ずっと言ってきたけどやっぱり出た。自分で失敗して覚えていくものだから。これを無駄にしちゃいけない」と、冷静に考え、全体を見渡す視野を求めた。

 新人らしい思い切りの良さで快音を連発し、甲子園の左中間最深部に2号3ランを放った8日から打順は6番に昇格した。勢いでレギュラーの座をつかみかけようとしていた長野にとっては、足元を見つめ直すいい機会になった。ベンチに退くとすぐに「すいません」と首脳陣やチームメートに頭を下げ、試合後も「もっと低く投げなければいけなかった。守備と走塁ではチームに迷惑をかけてはいけないと思ってやってきましたが、迷惑をかけてしまった。しっかり練習します」と、反省の言葉を並べた。

 守備のミスが響き、今季も最大のライバルになる中日との首位攻防戦第1ラウンドは落とした。だが、原監督は長野を責めなかった。「すべてを糧にして、ということです」。失敗は成功のもと。ルーキーの負けん気と巻き返しに期待している。【広瀬雷太】

 [2010年4月10日8時43分

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