2月の宮崎合宿から約1カ月。4人で詳報してきた日刊スポーツ侍ジャパン取材班も、チェコ戦をもって解散します。それぞれのWBCを「侍日記」拡大版で送ります。
----◇--◇----
WBC開幕直前の4日、侍ジャパンの伊藤大海投手(28)が米メディアの取材を受けていた。「前回、大谷選手が『あこがれるのはやめましょう』と言っていたが、3度WBC優勝した日本に、他国はあこがれるべきですか?」。
すこしひねった質問だと思っていたら、右腕は迷わず答え始めていた。「あこがれるというか、リスペクトはもちろん必要だと思いますけど…」。常にその気持ちを持っているから、すぐに言葉が出てきたのだろう。東京での1次ラウンドは、そんな「リスペクト」にあふれる瞬間をいくつも見た。
特に覚えているのは7日韓国戦。盗塁死となった源田がチャレンジを要求し、リプレー検証をしている最中。韓国の李政厚、安賢民とビジョンを指さしながら、仲よさそうに結果を待っていた。SNS上でも話題になった、思わずほほ笑んでしまうようなシーンだった。
試合前には大谷がドジャースのチームメートの金慧成らとハグし、文保景のハッスルプレーにはスタンド全体から大きな拍手が送られた。敵味方関係なく、アスリートとして尊敬し、素晴らしいプレーをたたえる空気感があった。
日本と韓国は他のスポーツでも、よくライバルとして取り上げられてきた。少し前まで「日韓戦」と聞くと、どこかピリピリするイメージがあったが、そんな雰囲気は全くなかった。
グラウンドでは真剣勝負。離れれば、自然と笑い合う。韓国だけでなく台湾、オーストラリア、チェコ、そして日本。みんなすがすがしいチームだ。あこがれるのではなく、リスペクト。世界トップの大会で見ることができた、すてきな関係性だった。【磯綾乃】
◆磯綾乃(いそ・あやの)1991年(平3)埼玉県春日部市生まれ。早大から14年入社。整理部を経てアマチュア野球担当、阪神担当からサッカー担当に。大学時代はインドの国民的スポーツ「カバディ」に夢中になり、全日本カバディ選手権で4強入り(出場6チーム)。

