両国国技館内には、32枚の優勝額が飾られている。東京での本場所ごとに、2枚が入れ替えられる。今回、2020年初場所を制した徳勝龍の優勝額が外された。元幕内徳勝龍の千田川親方(39)は「現役の時、飾られているのは照れくさかった。でも、さみしいもんですね」と実感を口にした。
問題は、その優勝額の行き先だ。大きさは縦が約3・2メートル、横は約2・3メートル、重さ約80キロ。通常の建物には入らない。相撲部屋の師匠が、自らの部屋に飾るケースは多いが、千田川親方は錦戸部屋の部屋付き。保管しておくにも、それなりのスペースが必要になる。そこで千田川親方に聞いてみた。
「優勝額、どうするんですか?」
千田川親方は真顔になって、「産廃です」とポツリ。
もちろん、これは軽くボケただけで、産業廃棄物にするわけではない。千田川親方は、こう説明してくれた。
「地元の奈良県庁の横に、新しくできたバスターミナルがあるんです。そこの2階に置いてもらえることになりました。(絵柄が)せんとくんの化粧まわしも飾ってもらえます。地元に、と思っていたんで良かったです」
5月ごろ、日本相撲協会担当者に優勝額の設置場所を聞かれ、知人に相談を始めた。決定したのは7月の名古屋場所前だ。除幕式は、10月10日。千田川親方も出席し、披露することになる。
千田川親方にとって、唯一の大切な優勝額。「子供たちがそれを見て、1人でも2人でも、相撲をやってくれたらいいですね」。実物を見ると、優勝額はかなり大きく、インパクトがある。記憶に残る幕尻優勝が、語り継がれるきっかけにもなる。【佐々木一郎】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)


