ボクシングで日本初の親子3人王者を目指す。スーパーライト級で内藤未来(23=E&Jカシアス)が4月のプロテストに合格し、秋にデビュー戦を予定する。カシアス内藤として日本と東洋のミドル級王者だった父純一会長(67)が13日に明かした。兄律樹(24)は日本スーパーフェザー級を制した国内2組目の親子王者。弟未来は未経験も2年前は120キロの肥満体から一念発起し、父も兄も超える世界王者を目標にプロ入りした。

 内藤は2年前にボクシングを始めた。中2で市民大会に出たがボコボコにされて興味をなくした。05年に父がジムを開設すると、周囲から「なんでやらないの?」と言われる日々。14年には兄が王者になり、次男も「格好いい」とやる気になった。

 170センチで120キロあった。中学でサッカーのGKになったのも「太っていて動かなくていいから」。兄が将来ジムを継ぎ、それを手伝うために「ボクシングを知りたい」とも考えた。セコンドを手伝おうとトレーナーライセンスを取得。そのうち「リングに上がりたい」と思うようになった。

 68キロまでに絞り、血筋のよさからみるみる腕を上げた。「素質はある」と認める兄のスパーリングパートナーも務める。2月に決意すると4月にプロテスト合格。今はフィットネストレーナーが仕事でボクシングに集中し、「人生で一番楽しい」と話す。

 アマ経験もないが実はデビュー相手がいない。会長は「律樹の弟でパートナーのことも知られていて、みんな断られた。外国人相手でも秋までにデビューさせる」とちょっとうれしそう。父と兄に比べられるが「プラスに考え、いつか兄を超えたい。やるからには世界王者になりたい」と明るい未来を夢見る。【河合香】

 ◆親子&兄弟王者 日本で親子王者は父ライオン野口と次男野口恭の日本王者が最初。内藤親子が2組目で、父寺地永が日本と東洋太平洋、次男拳四朗が日本王座獲得で3組目。兄弟は兄が世界王者の上原や平仲に亀田3兄弟の世界王者らがいる。世界王者の親子は5組、兄弟は17組。親子3人はレオン・スピンクスがヘビー級、弟マイケルもヘビー級など2階級、レオンの息子コーリーがウエルター級など2階級制覇が唯一となる。