ボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(24=大橋)が12日、同級2位リカルド・ロドリゲス(米国)との5度目の防衛戦(5月20日、有明コロシアム)に向けた公開練習を、横浜市内の大橋ジムで行った。

 練習に先立った会見で大橋秀行会長から明かされたのは、さらなる進化を遂げた「怪物」の姿。「特に印象的だったのは、(井上の父の)真吾トレーナーが初めてですね、パワーがすごくて『手が痛い』と。相当パワーが大きく上がったと思います」。

 実際に、この日井上のミット打ちの相手を務めたのは父ではなく、弟の拓真。父の手首にはテーピングが巻かれており、「職業病ですが、この前に右ストレートで痛めてしまって。昨日と今日は任せました。受けてみてください。自分の気持ちがわかりますから」と冗談交じりに説明した。

 当の井上自身も感じている。「今回はしっかり下半身を作ってきた。1カ月前にキャンプも張る初めてのこともしてきた。その成果が出ている」。パンチ力を生む下半身強化を重点的に行い、実感がこもる。

 決戦まではあと8日。減量も順調にきている。下馬評では断然優位とされるが、「勝って当たり前を思われる試合ほど怖いものはない」と気持ちを引き締めていた。