ついに頂点に立った。

プリンセス・オブ・プリンセス選手権は、挑戦者の瑞希が王者・坂崎ユカからキューティースペシャルで3カウントを奪い、5度目の挑戦で初のシングル王者に輝いた。勝った瑞希は号泣、負けた坂崎は笑顔。ベルトを受け取った瑞希は「歴代のチャンピオンみたいになれるように頑張る」とファンに誓い、坂崎と手をつないで会場を後にした。

「マジカルシュガーラビッツ」でタッグを組むパートナー同士の一戦。瑞希は開始10分間は、ほとんど何もできなかった。その後、坂崎の攻撃をかわし、流れをつかむと、ヘッドロックで絞め上げ、コーナートップからのフットスタンプを連続で決めるなど、これまで坂崎の背中を見て覚え、目の前で見せてきた技を全力でぶつけた。

シングルでは5度対戦し、2分け3敗という“天敵”に初勝利。成長した姿を見せたかった最高の相手から奪った「特別なもの」。簡単には手に入らないからこそ、どうしても欲しかったという。「ユカっちは強くてかっこよくて。自分もそんな王者になりたい」と目を細めた。

大好きな坂崎と殴り合い、ぶつかり合った。18年からタッグを組み、苦楽をともにした相棒を破っての勝利。明日からはまた仲のいい普段通りの2人に戻る。今後は王者として挑戦を受ける立場になるが「ユカが言ってきたら断ります。やりたくない。それ以外なら誰でも」と話した。

「これまで尊敬する人たちが巻いてきたベルト。みんなが欲しくなるようなベルトにしたい」。大会2日前に28歳の誕生日を迎えた。感謝と決意のこもったバースデープレゼントは、誰にも渡すつもりはない。【松熊洋介】