元2階級制覇王者でIBF世界フェザー級5位の亀田和毅(32=TMK)が、5回終了TKO勝ちで再出発を飾った。

当初の相手は昨年10月に判定1-2の僅差で敗れたIBF同級2位レラト・ドラミニ(29=南アフリカ)だった。和毅は「負ければ引退」と強い決意を持って再戦に向けて備えてきた。しかし、ドラミニはIBFが指示した挑戦者決定戦を優先してドタキャン。試合の約2週間前に対戦相手が差し替わった。

急きょ代役となったWBCスーパーバンタム級ユースシルバー王者のケビン・ビジャヌエバ(23=メキシコ)を立ち上がりから圧倒した。「前回負けておやじ(史郎氏)と(昨年)10月ごろからかな。4カ月ぐらいしかなかったんで、このスタイルはまだ完成していない。今回のテーマは『気持ちでいく』。それは少し出せたかなと思う」。その言葉を受けて、リングサイドで見守っていた史郎氏から「ちょっとだけやぞー」と“ヤジ”が飛んだ。

体を揺らしながら、ウェービングで相手のパンチをかわし、左ボディーを中心に打ち込む。ビジャヌエバは早々に鼻血で顔を赤く染めた。ダウンこそなかったが、5回終了後に“ギブアップ”。和毅がTKO勝ちで復帰戦を飾った。

アウトボクシングでポイントをとりにいくボクシングから、常に圧力をかけて前に出るファイタースタイルにモデルチェンジした。史郎氏は「100点満点の40点やな」と辛めの採点。「もっとできるんよ。こんなもんじゃない。このスタイルはスタミナもいるし、課題はいっぱいあるある。攻撃的なボクシングしたんは初めてちゃうか。武器はいっぱいあるんで。次、また見といてや」とレベルアップに自信を見せた。

和毅は「次は世界。それしか見ていない」と3階級制覇へ意欲を見せた。その前に喜びがある。「あさって子どもが生まれるんで。飛行機で飛んで、メキシコに行きます」。メキシコ出身のシルセ夫人が、第2子の男児を出産する。家族の一大イベントを見届け、また大きな夢へと向かう。【実藤健一】